Project/Area Number |
22KJ0754
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Project/Area Number (Other) |
22J01386 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西川 星也 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 細胞性粘菌 / 3次元形態形成 / 連続体モデル / 定量生物学 / 3次元PIV / 3D形態形成 / Active Nematics |
Outline of Research at the Start |
近年、技術の向上により、3次元的な形態形成における細胞集団の配置や運動を掲示的に捉えることが可能となってきた。その結果、細胞増殖による密度増加だけではなく、細胞の自発的な運動や組織の機械的な物性の変化が組織の変形に寄与する組織の存在が明らかになった。こうした組織では力学的な作用が形態形成の駆動力となるため、細胞が発揮する力が組織のどこで、どのように働いているのかを解析する手法の構築が必要である。本研究では細胞集団の複雑な運動を駆動力とした3次元組織形成を行う細胞性粘菌をモデルケースとして、計測結果と直接比較が可能な数理モデルを構築することで、形態形成における力学的な作用の解析手法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に構築した細胞性粘菌の子実体形成を記述する連続体モデルを、組織が2種類の異なる細胞によって構成される数理モデルへと拡張した。細胞性粘菌の子実体は大雑把に分類すると、上部は将来的に柄になるPrestalk細胞、下部は将来的に胞子になるPrespore細胞によって構成されてており、細胞の性質も異なる。この特徴を記述するため、組織の変形速度場と組織の形態を表す位相場に加えて、細胞の種類を2種類に分ける位相場を導入した。新たに導入した位相場を含めた数理モデルに働く力を力学的な釣り合いを満たすように導出した結果、意図した通りに表面張力が変形を駆動する数理モデルになっていることが確認できた。 数理モデルを安定してシミュレーションするために、A. Badillo(2012)で提案されている仮定を用いて、式の形の変形を行った。その結果、安定したシミュレーションを行うことが可能となった。シミュレーションの結果、組織の内外に働く表面張力と異なる細胞種間の境界に働く表面張力のバランスが組織の形を決定していることが明らかになった。また、表面張力のバランスを故意に崩したシミュレーションを行ったところ、変異株の実験において報告されているものに似た形態の異常や組織形成の失敗を再現することができた。 連続体モデルの解析に加えて、本年度はボロノイ分割モデルを用いた子実体の柄形成のシミュレーションを行った。このシミュレーションにより、子実体の柄の内部において細胞が規則正しく配向することを再現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年はまず、実験的に計測した組織の硬さや幾何的な指標から組織に働く力で支配的なものは表面張力であることを理論的に見積もった。そして、組織の形と場所ごとの細胞の種類をそれぞれ表す2つの位相場と局所的な組織の変形速度を表すベクトル場からなる連続体モデルを構築し、シミュレーションより組織変形が表面張力で説明しうることを明らかにした。この計測データから定量的に組織内の力を推定し、連続体シミュレーションによりそれで変形が説明しうるかを確認する流れは、細胞性粘菌のみならず、他の生体組織の変形解析にも適用可能なものであり、本研究の核となる研究目標と合致している。そのため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況でも述べたように、多くの組織に適用可能な解析手法の流れは構築しつつある。しかし、現在の数理モデルには1細胞レベルの情報が含まれていない。現在は自由エネルギーからマクロに導出している力は、本来は細胞レベルのダイナミクスから生成されるもののはずである。したがって、1細胞レベルの情報を考慮することは、より詳細に組織の変形を理解するためには必要不可欠である。そのため、今後はActive nematicsモデルを用いて細胞の配向という1細胞レベルの情報を導入し、組織の変形が細胞レベルのダイナミクスから自発的に生成されるように改良を行う。
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