Project/Area Number |
22KJ0763
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Project/Area Number (Other) |
22J01602 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
峰雪 幸人 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 鮮卑 / 河西回廊 / 柔然 / 五胡十六国 / 北匈奴 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、中国北部(華北)を舞台とする五胡十六国時代を、華北と北アジア遊牧勢力との交易・物流のありかたから分析し、無秩序な分裂時代と見なされがちな当該時代を、伝世文献に加えて佚文史料や考古発掘の成果を用いて再検討することで、その体系的把握と新たな時代像を提起することを目的とするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、前年度に引き続き主に鮮卑についての研究をおこなった。まず、前年度の令和4年度に国際学会で発表した、2~3世紀における鮮卑のモンゴル高原における勢力拡大の様相を再検討した研究について、発表の際に得たコメントを踏まえて修正し「再論蒙古高原地區的鮮卑、匈奴勢力交替」として中国の雑誌に投稿して掲載が決定している(令和6年5月刊行予定)。また、さらに鮮卑勢力の勢力拡大と移動の問題について研究を進め、4~5世紀の鮮卑やそのほかの北方遊牧民の移動と河西回廊の諸政権の関係を分析した。その成果は令和6年3月9日に「五胡十六国時代における五涼政権の興亡と河西回廊周辺の交通路の変容」と題して第24回遼金西夏史研究会大会(於龍谷大学)で報告した。本報告の成果も、報告の際に得た意見を踏まえて現在論文化を進めている。これに伴い、河西回廊およびその南方の青海地域と鮮卑の関係を分析するため、発掘報告や図録、現地調査記などの資料収集と整理を行い令和6年度に行う予定の現地調査の準備を進めている。さらに、前年度に引き続いて柔然についても資料収集と史料読解を進め、柔然を当時の国際関係のなかでの位置の再検討を行うため、「東アジア」および「東部ユーラシア」に関する国内外の諸研究の収集と整理を行い、また、「五胡十六国前史」としての南匈奴の動向に関する史料の整理も行った。 このほかに、『中央ユーラシア文化事典』(丸善)に「鮮卑と柔然」の項目を執筆し刊行された(48―49頁)。また、中国で入国ビザの発給が再開されたことにもない、7月31日~8月7日にかけて中国の安徽省を中心に五胡十六国時代の大きな転換期となるヒ水の戦いの舞台となった地域などの現地調査を行い、あわせて現地博物館の図録などを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度もほぼ計画通りに遂行することができ、前年度に研究報告を行った鮮卑に関する研究については、中国の雑誌に投稿して掲載が決定した。その論文執筆に伴い新たな課題として浮かび上がってきた、鮮卑の西方への移住についても、成果をまとめることができ、年度末に学会報告を行い、論文執筆の準備もおおよそ完成した。また、中国のCOVID-19による移動の制限の緩和を受けて、ようやく現地調査を行う事が出来た。この現地調査では、遺跡の実見や図録などの資料収集だけでなく、コロナ禍の間に大きく進展した中国のデジタル化への対応など、今後現地調査を行う上で必要な経験も積むことができた。このほか、前年度から進めていた柔然の国際的位置づけについての研究は、より広い枠組みからの分析を行うため、特に「東アジア論」に関する海外の研究の収集と整理を行った。また、「五胡十六国前史」としての南匈奴の動向についても、従来の研究ではあまり顧みられてこなかった史料に着目して、整理を進めることができた。 そのため、最終年度に向けて、鮮卑の西方移住に関する研究および柔然の勢力拡大と五胡十六国時代の終焉に関する研究、さらに五胡十六国時代の嚆矢となる南匈奴の蜂起に至る過程についての研究の三つの研究についての基礎的な準備が完成した点および、最終年度で行う予定の現地調査の下準備もおおよそ完成した点から、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる令和6年度は、前年度までに得られた知見を論文化していく予定である。具体的には、第一に甘粛省および青海省に移住した鮮卑と周辺諸勢力の関係についての研究である。この点については、基本的な見通しについて前年度末に学会報告を行ったが、中国のCOVID-19による移動の制限の緩和を受けて、本年度の夏季に約10日間の現地調査を予定している。現地では関連遺跡と交通路の関係を実見するほか、現地博物館を多く訪問し、関連する遺物の実見も行う予定である。その準備段階としての関連図書・報告書の収集はほぼ終了しており、現地ガイドとの連絡も取り始めているため、現時点では十分な成果が期待できる。 続いて柔然の勢力拡大と五胡十六国時代の終焉の関係性についても、「東アジア論」や「東部ユーラシア論」などより広域の視野からの研究のなかで位置づけを明確にする準備が整ったため、論文化を進めていく。 また、五胡十六国時代の前史となる南匈奴の動向についても、これまでの研究で顧みられていない史料に着目したことで、新たな知見を得られる見通しが立った。ただし、この史料については引き続き十分な史料批判を加える必要もあるので、より慎重に検討を加えていく予定である。 以上を踏まえ、今後は上述の3つの研究の論文化を進めるとともに、夏季に行う現地調査の準備を進め、可能であれば現地の研究者との提携も模索していく予定である。
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