Project/Area Number |
22KJ0825
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Project/Area Number (Other) |
22J11826 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小坂 和広 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2022: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | ライシテ / 政教分離 / フランス法 / 憲法 / 信教の自由 / コンコルダ |
Outline of Research at the Start |
本研究の概要は、19 世紀から現代、具体的には①コンコルダ誕生期~政教分離法制定時まで(19C初~20C初)、②政教分離法制定から憲法改正前後(20C初~ 中期)、③欧州人権条約・CEDH期(憲法改正後~現代にかけて)という三つの時期のなかで、「法的概念としてのライシテ」が公法学の分野(学説、判例 、立法)の場面で、どのように解釈されてきたかを探り、当該概念がいかなる変容(多様性)を遂げたかを解明にする研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、法的概念としてのライシテについて、その変容過程と法学上の意義とに着眼しながら、当該概念の実相の解明を試みたものである。具体的には、コンコルダが制定された19世紀初頭から現代に至る期間を対象に、フランスの政教関係と信教の自由に関連する判例の系譜と学説の展開を明らかにしている。判例に関しては、19世紀の公認宗教体制下のそれとの比較を行いつつ、各々分野における判例法理が20世紀以降においてどのように発展したかを解明した。また、学説に関しては、19世紀に宗教信仰が当然とされ、そうした前提のもとで信教の自由が語られていたことを明らかにした。その上で、ライシテの確立により、マイノリティ宗派や無神論への配慮が見られるようになり、リベラルな思考枠組みが定着したことを解明した。 これまでライシテに関する判例法理やその発展過程は、個別の判例分析を除けば、ほとんど未解明であったといっても過言ではない。そのような状況において、政教関係や信教の自由に関するフランスの判例の展開につき、その輪郭を通時的に描いたという点で、本研究には一定の意義が認められるものと考えられる。また、ライシテの法的淵源である1905年法についても、その法学的分析は、わが国においてはほとんどなされていなかったところ、その議論の実態について、ある程度の内容を描くことができた点でも一定の意義があると考えられる。現代におけるライシテについても、最新の判例や議論を分析し、かつてのものと比較することを通じて、法的概念のライシテの現在地や課題を明らかにした。その意味で、本研究には、先行研究のアップデートという意義も認められる。
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