Project/Area Number |
22KJ0963
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Project/Area Number (Other) |
22J14867 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 05030:International law-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北島 佑樹 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 国際刑事法 / 越境犯罪規制 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、19世紀末から戦間期において発展した国際犯罪取締条約の分析を通じて、当時の国際法上の個人責任の概念を成立根拠とその射程という観点から解明することを試みるものである。常設の国際刑事裁判所(ICC)が設立され、判例が蓄積されつつある今日においても、国際法において個人が法的責任を追及されるとはいかなる法的状況なのかは不明確である。本研究では国際法上の個人責任概念の萌芽期である当時の時期に活発に議論された国際犯罪取締条約を分析し、犯罪の性格や処罰における個人の条約上の位置づけを検討することで、当時の国際法における個人責任概念の基盤を解明し、今日の検討の手がかりを得ることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度策定した研究方針を踏まえ、国際法上の個人責任が第二次世界大戦後のニュルンベルク裁判以前において原理的に例外的な性格を持つとする通説的な理解の妥当性を検証した。 具体的には、まず通説の形成過程をたどり、個人責任を例外視する理解が、第二次世界大戦以前においては個人が国際法の権利義務主体ではなく、従って国際法上の個人責任概念そのものが論理的に成立しえなかったという前提に依拠していることを明らかにした。 また、通説の理解は第二次世界大戦後に人道法や国際人権法が発展する過程で、国際刑事法史が現代の国際刑事裁判所設立という「終着点」に至る道のりとして理解され、初の国際刑事法廷である第二次世界大戦後のニュルンベルク裁判の「革新性」と、それとの対比で戦間期・第一次世界大戦以前の国際法の「後進性」が強調された結果、この立場が戦間期以前の時期に通説的であったという理解が強まったことも明らかになった。 続いて、戦間期及び第一次世界大戦以前の学説や国際犯罪取締条約の起草過程を検討し、通説のこのような前提理解が妥当かを検証した。その結果、当時問題となっていたのは適用法が未整備のため「国際犯罪」を特定できない、あるいは各国の管轄権を具体的にどのように調整するかが定まらないという問題であって、個人が国際法上権利義務主体ではないことを根拠に個人責任概念そのものを否定する立場は、戦間期や第一次世界大戦以前においても観念的で克服すべき対象として取り上げられるにとどまり、当時でも観念的に過ぎるという批判が強かったことが明らかになった。このことは通説の前提理解が妥当ではないことを示すものと考えられる。 以上の研究内容については丁寧な実証が求められるため、論文執筆を通じて論証の精緻化を進めているところである。
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