Project/Area Number |
22KJ0982
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Project/Area Number (Other) |
22J15277 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 廉仁 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | エキゾチックハドロン / 散乱理論 / 準定常状態 |
Outline of Research at the Start |
近年の観測により、従来のクオークの二或いは三粒子的な描像で説明できないエキゾチックハドロンの候補が二体散乱の閾近傍で多数見つかっている。本計画では、二体散乱行列の解析的及び幾何学的な構造に着目することで得られるMittag-Leffler展開を軸として、閾近傍のハドロンスペクトルから共鳴状態のエネルギーを模型依存性を抑えた方法で特定する理論的枠組みを確立する。また、閾近傍に位置する共鳴状態の適切な描像を時間依存する系の観点から探求する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主要な目的は散乱行列の解析性から得られるMittag-Leffler展開という極展開を通して、散乱データから閾近傍に位置するハドロン共鳴状態の共鳴エネルギーや幅を模型に依存せずに取得する方法を構築することであった。本研究者はこの研究課題を通じて、二体散乱系の散乱行列のリーマン面の大域的な解析的性質から2チャネル系と3チャネル系のMittag-Leffler展開を定式化した。さらに、実際に観測される実験スペクトルとリーマン面上に存在する共鳴状態の極の関係を明らかにした。特に複素エネルギーの虚部が正である極がエネルギーの一番小さくない閾近傍に位置する場合に、その閾上に増幅されたカスプ形の構造がハドロンスペクトルに現れることを明らかにした。本研究者はHALQCDの演算結果や実験データの簡易な解析を通して、$Z_c(3900)$や$\Xi(1620)$、$P_c$等の共鳴状態の候補がこの増幅されたカスプである可能性を指摘した。この増幅されたカスプに対応する解はNaiveな議論では時間的に発散し、通常の共鳴状態の枠組みでは理解できない。本研究では、結合チャネル系における閾近傍の非定常状態の生存振幅を極展開の形で表し、増幅されたカスプの極が存在する場合に生存振幅が全ての時間において指数的でない振る舞いで減衰することを明らかにした。また生存振幅の極展開と同様に相関関数を虚時間に解析接続した虚時間相関関数も非定常状態の極のMittag-Leffler展開で表すことができることを$\rho$メソンの有効模型を用いて確認した。これらの結果を元に、格子QCDで計算される虚時間相関関数から非定常状態の共鳴エネルギーを模型に依存しない形で抽出する方法を提案した。将来的にはこれを結合チャネル系の場合に拡張し、実際の格子QCDの演算結果に適用する予定である。
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