Project/Area Number |
22KJ1030
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Project/Area Number (Other) |
22J20918 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 07010:Economic theory-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野村 果央 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 状態依存価格設定 / 合理性不注意 / 金融政策 / インフレ率ターゲット / メニューコストモデル / 合理的不注意 / トレンドインフレ率 / 貨幣の非中立性 / 金融政策ショック |
Outline of Research at the Start |
本研究は、低インフレに長く苦しんだ日本や、コロナ不況後の供給不足に起因した高インフレに直面する欧米諸国のように、先進諸国の喫緊の課題であるインフレ率の制御と安定化を議論するため、企業の異質性と、情報制約等の実質の硬直性を考慮した経済理論モデルの構築および、その理論モデルと先進諸国のデータを用いて定量分析を主として行う。これらの分析によって、インフレ率の値が、異質な個々の企業の価格設定行動、情報集合に与える影響について考察し、こうした個々の意思決定を通じて、インフレ率の値がいかにマクロ経済変数及び金融政策の効率性に影響を与えるかについて理論、実証的に分析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、昨今の先進諸国の喫緊の課題であるインフレ率の制御と安定化のために、インフレ率の値が個々の企業の行動に与える影響と、その結果として経済全体の動学を決定づけるメカニズムの理論及び実証的な考察を行い、インフレ率と金融政策の効率性との間にある関係を分析した。具体的には、企業間の異質性と情報制約など実質の硬直性を考慮したメニューコストモデルを構築し、(1)企業間の異質性やフリクションが個別企業の意思決定・その分布に与える影響と、(2)均衡インフレ率とこれらの変数との関係性を求め、(3)この企業行動を通じた経路が金融政策の有効性に与える効果を分析した。企業間の戦略的補完性と情報制約を含んだ企業の意思決定を導出するために、平均場ゲームを用いて最適化問題を記述し、その数値解の導出を試みた。企業の意思決定の際に用いる情報集合に制約があること、及び個々の企業の意思決定行動がその状態変数に依存して異質性を持つことは、従来のマクロ経済学で用いられてきた理論モデルでは捨象されてきたものの、実証研究結果と整合的な要素である。こうした拡張によって、従来のモデルではとらえられない経済事象を説明するための新たなメカニズムを求めることが出来た。特に、均衡のインフレ率が企業の価格設定とその分布を通じて金融政策ショックの波及経路に影響を及ぼすことを示した。これは金融政策運営を議論する上でも重要な結果であり、実務上でも意義も持つと考えられる。 また、2023年度の2月には、京都にて行われた「若手経済学者のためのマクロ経済学コンファレンス」にて、これまでの研究の成果を発表した。普段交流する機会のない関西の研究者の方々から多くの有益なコメントを頂き、研究のブラッシュアップを行うことができた。これらの成果を論文としてまとめ、トップジャーナルへの投稿を検討している。
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