Project/Area Number |
22KJ1086
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Project/Area Number (Other) |
22J21718 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村瀬 泰菜 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 生殖補助技術 / チェコ / 国境を越えたリプロダクティブ・ケア / 代理出産 / 卵子提供 / 制度論 / 歴史社会学 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、現代のヨーロッパで「国境を越えたリプロダクティブ・ケア(CBRC)」の中心地となっているチェコ共和国において代理出産に関する法制度が不在である理由を、制度形成過程の分析を通じて明らかにすることにある。研究方法としては、法制度の形成に影響しうるアクターとしてフェミニズム、宗教、医学に着目し、それらが産出する言説を、歴史的制度論のアプローチに沿って分析する。それにより、CBRCの生起する社会的・歴史的条件をチェコの事例研究を通じて明らかにするとともに、既往研究が見落としてきた、国家間で異なる代理出産関連制度が生じる条件を提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、今日の欧州において「国境を越えたリプロダクティブ・サービス」(不妊患者が自国で利用困難な生殖補助技術を利用するために越境する現象)の受入国となっているチェコ共和国で代理出産に関する法規制が不在である理由を、生殖補助技術にかかる制度の形成過程の分析を通じて明らかにすることであった。そのために生殖補助技術の制度形成に影響を及ぼしうるアクターとしてフェミニスト、カトリック系議員、医師に着目し、制度化に関連する三者の言説を学術雑誌、学会声明、国会議事録、新聞、機関紙を用いて分析する計画であった。本年度は文献調査および経験的調査を実施するためにチェコ共和国に渡航し、10ヶ月間にわたってカレル大学社会科学部に客員研究員として滞在した。上半期には、カレル大学側の受入研究員の指導を受けながら、本研究の方法論にあたる歴史的制度論の発展史を整理し、博士論文の序章を執筆した。その後、年末までは社会科学部図書館にて生殖補助技術に関する新聞記事を収集し、イジナ・シクロヴァー図書館(ジェンダー研究所)にてチェコをはじめとする中東欧地域におけるフェミニズム史や人工妊娠中絶、性産業、周産期医療に関する文献を収集する一方、生殖補助技術の制度化に関わるアクターへのインタビュー調査の準備をした。1月から3月には、卵子提供や代理出産の法案を作成している議員二名と、チェコ産科婦人科学会生殖補助医療部門の代表者へのインタビューを実施した。出願時期の関係で当初の研究計画よりチェコへの留学開始は約半年遅れたが、科学技術社会論の国内トップジャーナルである『科学技術社会論研究』に論文が掲載され、チェコでの資料調査も済んだ。本年度の調査によって本研究の核となる資料やデータの収集が完了し、課題達成に大きく近づいたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
チェコでのインタビュー調査は、当初の研究計画では将来的な見通しとして考えていたものの、本研究では手に余ると考え、実施予定ではなかった。研究計画通りの資料収集に加え、計画外であったチェコの国会議員や医師を対象としたインタビュー調査が実施できたことは、研究対象のさらなる理解に貢献していることから、「当初の計画以上に進展している」と評して良いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、研究計画にしたがい、博士論文の執筆に向けて本年度(2023年度)の文献調査・インタビュー調査によって得られた資料・データの分析を行う。余力があれば、チェコで代理出産が法規制されない要因をより明確にするため、周辺諸国(e.g. スロヴァキア)との比較研究を実施する。(ただし、円安と中東欧での物価高騰の影響が著しいため、スロヴァキアへの渡航は現段階では困難に思われる。使用できる特別研究員奨励費の額が圧倒的に少ないためである。昨年は特別研究員奨励費のみでは全く滞在できる余地がなかったため、半年以上にわたって他の奨学金や助成金を取得するための申請書の準備をした。しかし学振最終年度ではそうした時間的余裕もないため、研究計画以上に本研究を進展させるための海外調査の実施は難しいように感じる。) なお博士論文に加え、2023年度に得られた資料・データをもとに、投稿論文を少なくとも二本執筆し、2024年度中に投稿する予定である。
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