Project/Area Number |
22KJ1088
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Project/Area Number (Other) |
22J21773 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
輝元 泰文 (2023) 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Research Fellow |
輝元 泰文 (2022) 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 西洋仏教 / 近代仏教 / セクト / 禅 / 精神分析 / 修養 / 澤木興道 / フランス / 食養運動 / マクロビオティック / 弟子丸泰仙 / 仏教青年会 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、フランスにおける禅の受容とその変容の歴史を、弟子丸泰仙とその影響下にあった人物を軸に、1960年代から現代に至るまで描くことを目的とする。フランス・西洋宗教史上の転換期でもある1960年代以降、弟子丸泰仙を中心に交錯する多様な人々の潮流のなかで、どのような文脈で禅が受容され、それがどのように変容していくのかを文献資料の精査と実践者へのインタビュー調査から明らかにする。フランスにおける代替知運動・科学・キリスト教などと禅との交錯過程から、禅の実践や思想が人々の意識の変容に果たした役割を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、①フランスにおける禅の受容の諸相についての研究に加えて、フランスへ渡る禅の系譜を遡り、②大正・昭和戦前期の日本における曹洞宗系の禅の近代化の展開についても研究を行った。また、③2023年9・10月にフランスで国際禅協会と弟子丸泰仙、マクロビオティックに関係する資料調査を行った。 ①は昨年度から継続している研究である。2023年9月の日本宗教学会第82回学術大会において「1980年代フランスにおける「禅マクロビオティック」批判」を口頭発表し、禅と食養運動がフランスで「セクト」として批判される論理を明らかにした。また、年度後半には、さらに視野を広げて、弟子丸泰仙による心理学・精神分析的な禅の解釈の仕方を解明するとともに、フランスの精神分析における禅の受容についても調査を開始した。 ②については、弟子丸泰仙の師僧にあたる禅僧澤木興道と第五高等学校仏教青年会の活動に注目して、2024年2月に熊本大学五高記念館等で資料を調査した。第五高等学校仏教青年会の学生の禅の修養の実態について、学生の遺した記録・日記・回顧録、地方紙などの資料の分析を進め、学生だけでなく教員や官僚にも及ぶ澤木の広い交友関係を解明した。 ③で主に調査したのは、弟子丸泰仙に関係する資料(講義ノート・原稿・書簡等)と、国際禅協会の会報のバックナンバー、フランスで発行されたマクロビオティックの機関誌である。この調査により発見された資料には、②の研究に関係する澤木興道に資料も若干存在した。調査・複写した資料は仮に目録化したが、そのうち会報については目次のリストアップの作業を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度前半には予期せぬ不幸があり、研究の進捗は滞らざるを得なかったが、年度後半にはペースを取り戻すことができた。特に年度後半にフランスで約2週間の資料の調査をすることができたのは本研究にとって重要な成果であった。しかしながら、弟子丸泰仙関係の資料については予想していたよりも多くの資料が発見され、資料の閲覧やスキャンに時間を費やさざるを得ず、当初計画にあった禅関係者への聞き取りについては時間の制約上断念せざるを得なかった。また、この調査の成果を年度内に論文としてまとめるには至らなかった。全体の進捗状況を振り返ると、一定の進展は得られたものの、当初の計画からするとやはり遅滞が生じていることは否めず、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
フランスにおける禅の受容の諸相についての研究については、禅とマクロビオティックの系譜のこれまでの研究をまとめ、英語で論文にまとめることを検討している。また、今後も、澤木の系譜が戦後にフランスのみならず西洋世界へと広まる思想的要因について考察を深めていく必要があり、澤木と仏教青年会の禅の修養については学会発表を予定している。フランスの精神分析における禅の受容については、参禅した精神分析医の著作などの資料を精査して、学会発表を行い、論文投稿へとつなげたい。フランスで調査・複写した資料は仮に目録化したが、そのうち会報については目次のリストアップの作業を今後も継続し、目録とする予定である。その後、会報の内容の精査を行う。フランスでの調査を行う際には、禅関係者への聞き取りを主体とした調査を行う予定である。
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