Project/Area Number |
22KJ1113
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Project/Area Number (Other) |
22J22393 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 37030:Chemical biology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 多実子 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ヒストン / 触媒 / がん / エピゲノム / クロマチン |
Outline of Research at the Start |
様々ながんにおいて突然変異が確認されるヒストンのacidic patch領域に結合するタ ンパク質(APB)は、その結合様式の崩壊が、がんにつながる可能性が示唆されている。しかし、生細胞内環境でAPBを網羅的に同定する方法は存在しない。 そこで本計画では、ヒストンの特定のリジン残基を位置選択的にアシル化可能な化学触媒を用いて、APBの網羅的同定を可能とするプローブをacidic patchに導入することで、クロマチン生物学に新たな知見を提供し、新規がん治療戦略へ応用することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
クロマチンの主要な構成タンパク質であるヒストンのacidic patch領域は、多様なクロマチン結合タンパク質の足場であり、様々ながんにおいて突然変異が確認されるhotspotである。acidic patchとacidic patch結合タンパク質(APB)間の結合様式の崩壊は、がんにつながる可能性が示唆されており、APBを網羅的に解析することは、がんの分子メカニズム解明や新規治療法開発につながると期待される。しかし、細胞内環境でAPBを網羅的に同定する方法は存在しない。そこで本研究では、「ヒストンアシル化化学触媒システムを用いてAPBを網羅的に解析する手法の開発」を目指す。 化学触媒はリガンドによってヒストン上にリクルートされ、近傍のリジン残基を位置選択的にアシル化する。本計画では、近傍タンパク質と光架橋を形成するプローブを含むアシル基を、化学触媒によってヒストンに導入し、生細胞内でAPB網羅的に検出する。遺伝子操作を必要としない本手法が実現できれば、将来的に患者由来サンプルを解析し、がんの診断や発症メカニズム特定につながると嘱望される。当該年度は、①プローブ導入触媒システムの生細胞内への適用を目指した改良、および②ヒストンに導入したプローブとAPBの間での光架橋形成の検討を行った。 ①化学触媒システムの改良として、これまでにリガンド設計の改変により、より効率的にアシル化を導入可能な化学触媒の開発に成功していた。当該年度は、細胞膜透過性を含むリガンドの更なる最適化を行い、リガンドの生細胞への取り込みを確認した。 ②夾雑環境下でのAPB検出の検討として、化学触媒により光架橋プローブを導入したヒストンに対し、細胞抽出物を加え、触媒・UV照射依存的な光架橋形成を確認した。今後は光架橋反応の効率化を目指し光架橋プローブを最適化し、①の触媒系と組み合わせて細胞内光架橋形成を目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に行った、①プローブ導入触媒システムの生細胞内への適用を目指した改良、および②ヒストンに導入したプローブとAPBの間での光架橋形成の検討は本計画の実現に向けて重要な前進であった。 ①従来の化学触媒は生細胞に対して効率的に導入することができず、がん細胞を網羅的に解析することを目指す本手法の障壁となっていた。リガンド改変により、反応の効率化と、多様な細胞種に適用可能な戦略での細胞膜透過性向上が実現したことは、プローブ導入触媒システムの生細胞内への適用につながると期待される。 ②触媒によりヒストンに導入したプローブとの光架橋形成は、これまでモデルタンパク質でしか実現できていなかった。今回、細胞抽出物との光架橋形成が確認できたことは、生細胞APB網羅的解析の実現の可能性をさらに高めたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、プローブ導入触媒システムを生細胞内で確立することを目指すとともに、光架橋形成反応の更なる効率化を目指しプローブの構造最適化を行う予定である。 それらを総合して、生細胞内でのAPB解析を行い、その後、多様な細胞種についてAPB解析を行うことで、がんの新規治療標的の発見を目指すことを目標とする。
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