Project/Area Number |
22KJ1117
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Project/Area Number (Other) |
22J22448 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 23030:Architectural planning and city planning-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 純花 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 在郷町 / 都市形成史 / 都市計画史 / 歴史的集落 / 近代化 / 地域拠点 / 生活圏 / 立地適正化計画 |
Outline of Research at the Start |
日本の集落の1類型である在郷町は、近世農山村部の流通結節点として農山村との関係性の中で成立し、商工業が発達した歴史的集落である。本研究では、地方都市の中山間地域を後背地に抱えた在郷町を対象に、在郷町の中心機能に着目した集落空間の変容と、在郷町と農山村の結びつきの変容の両者を分析する。これによって町場という側面から見た各在郷町の集落空間の固有性を見出すことで、今後の地方都市の生活拠点としての空間像への示唆を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究対象地である富山県内で事例として選定した3つの在郷町を対象に、1)在郷町の近現代の集落空間形成過程、2)在郷町と周辺農山村との間の移動の変化の2点について重点的に調査研究を進めた。 1)については、在郷町の地域拠点としての側面に着目し、文献資料及び住宅地図資料を用いて、明治期以降現在に至る約150年間の公共空間の分析を行った。公共施設については、前年度に続き2事例目の在郷町を対象に、旧土地台帳及び公図を資料として用い、施設が立地する土地の地目と所有者の変遷に関する分析を行った。この結果、近代初頭の公共施設の立地が現在の集落空間構造に影響を及ぼしていることを明らかにした。道路空間については、3つの在郷町ごとに車道拡幅の時期や程度、その意思決定背景に違いがあることが分かった。 2)については、3つの在郷町の自治体史、郷土新聞、広報資料を網羅的に収集分析することによって、各在郷町が周辺農山村に対して果たした役割の違いを明らかにした。このうち2つの在郷町については、在郷町周辺の農山村に現住する70代以上の高齢者に対して計14回のグループインタビュー調査を行い、1970(昭和45)年頃以降の在郷町と周辺農山村の間の移動の実態に関する証言を得た。これらの分析を踏まえ、特に周辺農山村との日常生活上の結びつきが密接であった1つの在郷町を取り上げ、市公文書館所蔵の議会資料等を用いた詳細な分析を行い、明治期から自家用車普及以前にかけて、周辺農山村と在郷町の日常的結びつきに関する住民の認識が変容していることを明らかにした。この認識の変容の時期には、各村の地勢条件や生業及び産業の特性の違いが影響を与えており、これによって時代ごとに在郷町の生活圏が徐々に縮小していく過程を解明した。この成果について学会発表を行い、また査読論文の採用が決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度及び本年度において、本研究の着眼点である、在郷町の近現代の集落空間形成過程と、在郷町と周辺農山村との間の移動の変化の両者について、現地で文献調査を行い、貴重な資料を得ることができた。同時にこの資料を元にした分析も順次進めており、その成果を論文として投稿し、学会発表も行っていることから、本研究は順調に進展していると言える。 また本年度は、前年度にCOVID-19感染症の影響で実施困難であった高齢者を対象としたインタビュー調査や商工会等の担当者へのヒアリング調査を複数回実施することができるようになり、対面での聞き取り調査も順調に実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、本年度に引き続き以下の3つの調査及び分析を進める。 第1に、県内の在郷町を含めた近現代の地域拠点の変遷を明らかにする。具体的には、まず、公共施設及び生活利便施設の立地や、娯楽・遊興空間、商店・飲食店の変遷を文献資料から調査する。これを踏まえ、地形や交通条件の違い、計画の有無に着目しながら地域拠点の規模や性質の変容を解明し、各在郷町の地域拠点としての位置づけの変遷を明らかにする計画である。 第2に、3箇所の在郷町を対象に、近現代の集落空間形成過程の調査を深める。具体的には、本年度までの事例調査の成果を照らし合わせて公共施設及び道路空間の変容を比較分析することで、各在郷町について、地域拠点としての側面から見た集落空間の特徴を明らかにする。 第3に、3箇所の在郷町を対象に、在郷町と周辺農山村との間の移動の変化の分析を深める。本年度までに実施した文献調査とインタビュー調査の結果をとりまとめ、必要に応じて追加調査を行いながら、近現代の在郷町をとりまく生活圏の変化を解明する。 以上より、各項目の分析を継続しながら事象の時系列や因果関係を精査し、地域拠点としての側面に着目した在郷町の近現代の集落空間変容の実態とその背景を明らかにする計画である。
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