Project/Area Number |
22KJ1188
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Project/Area Number (Other) |
22J40144 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 49010:Pathological biochemistry-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
住谷 瑛理子 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 脂肪髄 / 身体不活動 / 骨髄間葉系細胞 / RANKL |
Outline of Research at the Start |
長期臥床など身体不活動の状況では、骨髄中の造血組織が脂肪細胞に置き換わる脂肪髄化が起こり造血・免疫機能が低下することが問題となる。本研究では身体不活動を模擬した後肢不動化モデルマウスにおける骨髄間葉系細胞の変容を1細胞遺伝子発現解析により明らかにし、脂肪髄化に関わる細胞群の同定ならびに不動化によって誘導される骨髄脂肪細胞分化の分子メカニズムの解明を目指す。本研究により得られる基盤的知見は、身体不活動による脂肪髄化の予防・治療法の開発に役立つがことが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
長期臥床など身体不活動の状況では、骨髄中の造血組織が脂肪細胞に置き換わる脂肪髄化が起こり造血・免疫機能の低下につながることが問題となる。本研究では身体不活動時の脂肪髄形成に寄与する骨髄間葉系細胞群の同定並びに身体活動・不活動による当該細胞群の制御メカニズムを解明することを目的とする。 前年度の研究において、身体不活動状態を模した下肢不動化モデルマウスから骨髄脂肪細胞前駆細胞の候補として着目しているRANKL発現履歴のある骨髄間葉系細胞を単離し、一細胞遺伝子発現解析を実施した。令和5年度は、この一細胞遺伝子発現データセットの詳細な解析を進め、不動化処置群では非処置群と比べLepr陽性の骨髄ストローマ細胞集団においてRANKLを発現する細胞が増加していることを明らかにした。また不動化処置および非処置群間の遺伝子発現差解析を行い、不動化処置群の骨髄ストローマ細胞に高発現する転写因子をいくつか同定した。一方、不動化処置群の骨髄ストローマ細胞にみられる高発現転写因子が直接RANKLや脂肪細胞分化関連遺伝子の発現誘導に関わる可能性やその機序を探るためにRANKL発現履歴のある骨髄ストローマ細胞を単離し、ATAC-seq解析を実施した。今後このATAC-seqデータの解析を進めることによって不動化に伴って出現するオープンクロマチン領域とそこに含まれる転写因子結合モチーフを同定し、不動化による脂肪細胞増加の機序を解明する手がかりを得ることで身体不活動によって脂肪髄形成が引き起こされるメカニズムの一端を解明することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではまずRANKLを発現した履歴のある細胞が蛍光タンパク質tdTomatoで標識される独自のRANKL fate mappingマウスを作出した。8週齢のRANKL fate mappingマウスに対して後肢を拘束する不動化処置を施し、2週間の拘束の後、骨と骨髄から単離したtdTomato標識細胞に対して一細胞遺伝子発現解析を行った。その結果、不動化処置を行ったマウスでは非処置マウスと比べてCxcl12およびLeprを高発現する骨髄ストローマ細胞集団においてRANKLを発現する細胞が増加していることが分かった。この骨髄ストローマ細胞集団をさらに詳細に解析したところ、遺伝子発現パターンに基づき6個の亜集団に分かれた。各亜集団と不動化処置群のRANKL発現との関連を調べたが、RANKL発現細胞は特定の亜集団への偏在が認められなかった。一方、脂肪細胞前駆細胞におけるRANKL発現に寄与することが報告されているC/EBPβやC/EBPδを含め、いくつかの転写因子が骨髄ストローマ細胞集団に高発現していることが一細胞遺伝子発現解析の結果から分かった。そこでこれらの転写因子が直接RANKLの発現制御に関わる可能性を検討するため、不動化処置を行ったRANKL fate mappingマウスの骨と骨髄から単離したLepr陽性tdTomato標識細胞に対してATAC-seq解析を行い、オープンクロマチン領域を同定した。今後得られたデータの解析を進め、不動化により誘導されるRANKLや脂肪細胞分化関連遺伝子の発現機序を明らかにすることを目指す。 以上の進捗状況から研究は滞りなく進められていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の研究において、2週間の不動化処置を行ったRANKL fate mappingマウスの骨髄から単離したLepr陽性tdTomato標識細胞(RANKL発現履歴のある骨髄ストローマ細胞)のATAC-seq解析データを得た。今後の研究ではこのデータを解析することによって不動化処置、非処置サンプル間のオープンクロマチン領域の差異を明らかにする。不動化処置に伴って出現する特異的オープンクロマチン領域を抽出し、そこに含まれる転写因子結合モチーフのエンリッチメント解析を行う他、特異的オープンクロマチン領域近傍の遺伝子群のGO解析を行うことでRANKL発現や脂肪細胞分化関連遺伝子の発現制御機序に関わる可能性のあるエンハンサー領域や転写因子の候補を得る。またこれまでのscRNA-seq解析で明らかにした不動化処置に依存して発現が上昇する転写因子について、RANKL遺伝子や脂肪細胞分化関連遺伝子近傍のオープンクロマチン領域における結合モチーフの有無を調べることでも不動化処置による遺伝子発現変動のメカニズムを探る。 さらに骨髄ストローマ細胞特異的なRANKL欠損マウスを作成し、不動化処置後の骨髄の解析を行うことで身体不活動によって誘導されるRANKL発現と脂肪髄化の関係を明らかにする。
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