非必須因子によるファインチューニングから哺乳類オートファジーの未開拓領域に迫る
Project/Area Number |
22KJ1201
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Project/Area Number (Other) |
22J00707 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 43030:Functional biochemistry-related
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小島 和華 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | マイトファジー / 隔離膜 / オートファジ― |
Outline of Research at the Start |
申請者が近年同定した新規オートファジー因子BCAS3-C16orf70の機能解析を主軸として、哺乳類オートファジーにおける「生物進化的に新しく獲得された機能因子」が、ファインチューニング因子として重要な意義を持つメカニズムを解き明かす。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者が先行研究において同定した新規オートファジー関連因子:BCAS3-C16orf70複合体の機能解析を主軸として、哺乳類オートファジーにおける「進化的に新しく獲得された機能因子」がファインチューニング因子として重要な意義を持つメカニズムを解き明かすことを目的としている。 細胞内で機能不全となった細胞小器官やタンパク質の凝集体などの不要物は、オートファジーというシステムで分解されている。オートファジーでは隔離膜という脂質二重膜が伸長して分解対象物を包み込み、最終的には酸性条件下で活性化する酵素を含んだリソソームとの融合によって内包物を分解している。基本的なメカニズムは酵母から哺乳類まで生物種間で共通しており、隔離膜の生成開始に働く因子や膜の伸長に必要な因子など、多くのオートファジー必須タンパク質の進化的保存性も高い。その一方で本研究では、単純に培養細胞で遺伝子欠損させてもオートファジーの進行に影響が出ないような非必須因子、つまり進化的保存性の低い因子に焦点を当て、それらが進化的に獲得されてきた重要性を明らかにしたい。 申請者が同定したBCAS3とC16orf70は複合体として存在することがわかっている。哺乳類オートファジーにおいて隔離膜に局在するが、その分子機能は未だ明らかではない。本年度は前年度に引き続き、モデル生物を用いた解析、および、タンパク質立体構造予測からのBCAS3とC16orf70の相互作用領域の同定、新しいオートファジー活性評価系を用いたフェノタイプ解析を行った。また、他大学の研究グループとのクローズドなディスカッションの他、学会でのポスター発表、共同研究先における研究報告会での口頭発表など、研究成果の外部発表も積極的に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度は、タンパク質立体構造予測ツールであるαFold2を用いて、BCAS3およびC16orf70のアミノ酸配列から立体構造を予測した。BCAS3とC16orf70がオートファジー因子として機能する際には、二者の立体構造を介した複合体形成が必須であることが明らかになっているため、相互作用部位の同定はオートファジー機能を議論する上で不可欠である。そのため今年度は、細胞内に特定の蛍光タンパク質を融合した目的タンパク質を発現させるだけで目的タンパク質同士の相互作用を検出することができるFluoppiという方法を駆使して、BCAS3とC16orf70の相互作用部位の絞り込みを行った。その結果2箇所の領域での結合が機能に必須であることが明らかになった。 αFold2による立体構造予測から、複数のモデル生物におけるBCAS3およびC16orf70ホモログ間で、アミノ酸配列の相同性が低い場合であっても、その構造がよく類似していることがわかった。構造の保存性はすなわち機能の保存性としても捉えられる。実際に、ショウジョウバエBCAS3とC16orf70を哺乳類細胞に発現させFluoppiアッセイを行い、ショウジョウバエでも2者の相互作用が保存されていることが示唆されたので、外部研究室との共同研究によりショウジョウバエを用いた解析を始めた。また、哺乳類オートファジーを扱う本研究において哺乳類モデル生物を用いた解析は不可欠であるため、BCAS3とC16orf70遺伝子欠損マウスの作製を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、引き続き、BCAS3およびC16orf70の全身遺伝子欠損マウスの作製・解析を進める。また、外部研究室との共同研究としてショウジョウバエを用いた解析を進める。BCAS3-C16orf70複合体に含まれ、その機能に関連する可能性のある他の因子を質量分析によって探索し、複合体の分子機能を明らかにする。さらに、近年報告されたヒト疾患との関連に着目し、疾患由来の変異導入による機能阻害の可能性を検討する。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)