マラリア原虫の新規アルテミシニン強耐性株の解析と耐性遺伝子の同定
Project/Area Number |
22KJ1203
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Project/Area Number (Other) |
22J12522 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 49040:Parasitology-related
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
窪田 理恵 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | マラリア原虫 / アルテミシニン / 薬剤耐性 / 熱帯熱マラリア原虫 |
Outline of Research at the Start |
現在、熱帯熱マラリア原虫の治療で広く使用されている抗マラリア薬であるアルテミシニンは、Kelch13遺伝子の変異によって耐性を獲得することが明らかとなっている。本研究では、Kelch13遺伝子の変異をもたないアルテミシニン耐性を示す臨床分離株を樹立することに成功したため、性状解析ならびに遺伝学的手法を用いて新規アルテミシニン耐性遺伝子の同定を行う。本研究成果は、アルテミシニン耐性機構の全貌解明を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
マラリアの治療薬であるアルテミシニンの耐性遺伝子が同定されたが、いまだにアルテミシニンを用いたマラリア治療に難渋する例が多数報告され、アルテミシニン耐性をめぐる状況が混沌としている。本研究は、タイのマラリア流行地のフィールドワークによって分離した既知アルテミシン耐性遺伝子変異(Kelch13変異)をもたないアルテミシニン耐性株Thai-R株を対象として、新規アルテミシニン耐性遺伝子の同定を目的とした。本年度は、ショートリードシーケンサーとロングリードシーケンサーを組み合わせたハイブリッドシーケンスによって、Thai-R株の全ゲノム塩基配列を決定し、一塩基多型解析およびコピー数多型解析を行った。その結果、制御領域を含めたKelch13遺伝子領域全体に渡って塩基置換は認められず、他の抗マラリア薬の耐性に関連する既知の遺伝子に、変異あるいはコピー数が上昇していたことから、多剤耐性株であることがゲノム解析からも明らかになった。 続いて、Thai-R株の新規薬剤耐性遺伝子同定のために、マラリア原虫人工染色体を用いたゲノムDNAスクリーニングを実施した。断片化Thai-R株ゲノムDNAを組み込んだ人工染色体プラスミドを作出し、アルテミシニン高感受性株へ遺伝子導入を行うことで、Thai-Rゲノムをランダムに保持する原虫集団(ライブラリー)を作出した。本年度は遺伝子導入を繰り返した結果、遺伝子領域全体の50%を超えるゲノムカバレッジを持つライブラリーが構築できた。続いてこのライブラリーに薬剤処理を行い、薬剤抵抗性と関連するThai-R株ゲノムDNAを保持する原虫の選択を試みた。その結果、アルテミシニンおよびルメファントリンに対して、わずかに抵抗性の上昇と関連する原虫集団を選択し、抵抗性の上昇と関連する遺伝子リストを作成した。これらの遺伝子は薬剤耐性に関連する遺伝子群であることが予想された。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)