超分子光触媒による二酸化炭素還元機構の解明と機能向上
Project/Area Number |
22KJ1330
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Project/Area Number (Other) |
22J21126 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鴨川 径 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 二酸化炭素還元 / 光触媒 / 金属錯体 / レドックス光増感反応 / 二酸化炭素還元光触媒反応 / 反応機構 / 時間分解分光法 |
Outline of Research at the Start |
トリエタノールアミン共存下で高いCO2捕集能を示すRu(II)-Re(I)超分子光触媒は、CO2をCOに高い選択性で還元でき、固体材料との複合化などにより様々な反応系で利用されている。しかし反応機構の不明瞭さが、より優れた反応系構築の妨げとなっている。そこで本研究では、種々の実験手法による中間体同定と速度論解析、計算化学による反応経路探索により、Ru(II)-Re(I)超分子光触媒によるCO2還元反応機構の解明を目指す。さらに、明らかになった反応機構に基づいて、分子構造及び反応条件の新たな設計を行い、より高い触媒耐久性、CO2捕集能、反応量子収率を示す光触媒反応系の構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は種々の分光測定やHPLC分析により、Ru(II)-Re(I)超分子光触媒によるCO2還元反応の中間体の構造や各過程の速度論を調べた。今年度はこれらの結果に基づいて、実験的には観測することができない遷移状態や短寿命中間体の構造をDFT計算によって明らかにすることで、CO2還元反応機構の全容を解明した。 この反応機構研究により、従来のエチレン鎖を架橋配位子とするRu(II)-Re(I)超分子光触媒のRu光増感部からRe触媒部への分子内電子移動が、Re触媒部でのCO2還元反応よりも7桁以上速い速度で進行することが分かった。この事実は分子内電子移動反応がCO2還元反応の律速過程ではないことを示している。そこで、アルキル鎖と芳香環からなる、従来比約三倍の長さの架橋配位子を有する新規Ru(II)-Re(I)超分子光触媒を開発し、分子内電子移動速度がCO2還元光触媒活性に与える影響を調べた。その結果、分子内電子移動速度は二桁遅くなった一方で、CO生成の触媒回転数(TON)は2700から3880に向上し、光触媒活性の低下なしでRu(II)ユニットとRe(I)ユニットの距離を伸長できることが示された。 また今年度はRe触媒とトリエタノールアミン(TEOA)によるCO2捕集反応の速度論を調べた。CO2捕集前の錯体を含む溶液とCO2を含む溶液をストップトフロー法により混合し、その後の紫外可視吸収スペクトル変化を追跡することで、この反応の速度定数を決定した。さらに、この反応速度定数の温度依存性を調べることで、CO2捕集反応の活性化パラメーターを決定した。DFT計算による遷移状態計算を併せ用いることで、Re触媒とTEOAによるCO2捕集反応の律速過程は、アルコキシド錯体のO原子からCO2の炭素原子への求核攻撃であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りRu(II)-Re(I)超分子光触媒によるCO2還元反応の全容を解明し、査読付き論文(Chem. Sci., 2024,15, 2074.)として報告した。明らかになった反応機構から、光触媒の改良指針が得られた。また、Ru部とRe部間の分子内電子移動速度と光触媒活性の関係を明らかにすることで、光触媒活性を損なうことなく、Ru-Re間の架橋ユニットを伸長することに成功した(ACS Catal., 2023, 13, 9025.)。この超分子光触媒を半導体と複合化することで、従来の金属錯体-半導体ハイブリット触媒において問題となっていた、Re触媒部から半導体表面の酸化点への逆電子移動を抑制できることが期待される。さらに、ストップトフロー測定とDFT計算によってRe触媒とトリエタノールアミンによるCO2捕集反応の速度論を解明した。 以上の理由から当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの反応機構研究から、Re触媒部の二電子還元種(カルボン酸・カルボン酸エステル中間体)の反応性の低さがRu(II)-Re(I)超分子光触媒の分解の主な原因であることが明らかとなった。またこの中間体の蓄積は反応量子収率の低下を招く。今後は、この安定な中間体の後続反応を加速するために、錯体の構造や反応溶媒を改良する。それと同時に、本年度に調べたRe触媒とトリエタノールアミンによるCO2捕集反応の速度論に基づいて、捕集配位子を最適化する。これらの試みにより、より高い耐久性、二酸化炭素捕集能、反応量子収率を示す光触媒反応系の構築を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(17 results)