化学エネルギーにより駆動するDNA液滴の動的挙動の制御
Project/Area Number |
22KJ1346
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Project/Area Number (Other) |
22J23376 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 62010:Life, health and medical informatics-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
丸山 智也 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | DNA液滴 / DNAナノテクノロジー / 人工細胞 / 自己複製 / DNAゲル / 生物物理学 / 非平衡系 |
Outline of Research at the Start |
生細胞内では、タンパク質や核酸が凝集して相分離し、膜を持たない「液滴」が形成される。その機能の理解や工学的な応用を目指して、生体高分子などを用いたモデル液滴の作製が行われているものの、実際の生細胞内液滴のように、非平衡定常状態で存在し、化学エネルギーを用いた動的挙動を行うモデル液滴に関する研究は未だ途上にある。本研究では、DNA分子の集積によって形成されるDNA液滴をモデル液滴とし、化学エネルギーと核酸制御酵素を利用した非平衡定常状態の実現、および成長や分裂などの動的挙動の実現を行う。また、それらの化学エネルギー依存的な動的挙動がエネルギー供給の変化によってどのように変化するかを調べる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、DNA液滴の成長機構実現のためのDNAナノ構造体の増幅および、核酸酵素を用いたDNA液滴の分裂制御の実現を目標とし、その実現に成功した。DNAナノ構造体の増幅では、増幅機構に必要な機能的配列を持つDNAナノ構造体にDNA増幅酵素を反応させることで、DNAナノ構造体を増幅させることに成功した。さらに、DNAナノ構造体が持つ機能的配列の塩基長が変わることで、形成されるDNA液滴の安定性が変化することや、DNAナノ構造体の増幅効率が変化することを発見した。さらに、それらの知見を基に、NUPACKやoxDNA等のDNA塩基配列設計用のシミュレーションソフトを用いて、増幅機構に最適なDNAナノ構造体を設計することに成功した。DNA液滴の分裂制御では、核酸酵素を用いて、DNA液滴の分裂を誘発するトリガーの生成を時間制御可能な反応系を構築した。また、その反応系をDNA液滴と組み合わせることにより、DNA液滴の分裂の時間制御に成功した。さらに、予定よりも進み、核酸酵素を用いた化学反応系を複数組み合わせることで、DNA液滴の分裂の順番を制御することにも成功した。また、出力される分裂の順番によって複数のmiRNAの濃度を比較可能な、分裂順番制御を用いたDNA液滴ベースの分子コンピューティングの構築にも成功した。また、数値シミュレーションを用いて化学反応系のパラメータの変化が分裂時間に与える影響を調べることにも成功した。これらの結果から、核酸酵素を用いることによって、DNA液滴のダイナミクスを制御できるということがわかってきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、DNA液滴の成長機構実現のためのDNAナノ構造体の増幅に成功した。さらに、DNAナノ構造体が持つ機能的配列の塩基長が変わることで、形成されるDNA液滴の安定性が変化することや、DNAナノ構造体の増幅効率が変化することも発見した。また核酸酵素を用いた化学反応系によって、DNA液滴の分裂の時間制御を実現した。また、時間制御を応用することで、分裂の順番制御の実現にも成功した。以上から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、DNAナノ構造体を増幅可能な化学反応とDNA液滴を組み合わせることで、DNA液滴の成長機構の実現を目指す。また、DNA液滴の成長機構と分裂制御機構を組み合わせることで、自己複製可能なDNA液滴の実現を試みる。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)