Project/Area Number |
22KJ1353
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Project/Area Number (Other) |
22J12803 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 80030:Gender studies-related
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
永井 萌子 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2022: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | セクシュアリティの地理学 / LGBTI難民 / クローゼット空間 / 場所構築 / 都市への権利 / フランス / パリ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、人文地理学者マイケル・ブラウンによって提唱された「クローゼット空間」の概念を用いながらも、分析をシス男性同性愛者に限らず、性的マイノリティの移動の経験とその過程で創出・変容する特有の空間/場所を明らかにするものである。具体的には、フランス・パリを事例に、「クローゼット空間」の視点からLGBTI難民とクィア女性の経験を分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究はフランス・パリにおける性的マイノリティ、特に難民とクィア女性の空間的実践および経験を「クローゼット空間」と場所構築の観点から検討することを目的とする。2022年度は、フランス・パリにおける現地調査を二度実施し、1)活動団体への調査、2)その他資料の収集、3)地図化作業を行った。1)では、女性の難民に関する詳細な現状を把握するため、パリを拠点にして活動するLGBTI難民、特に女性への支援を目的とする市民活動団体およびネットーワークへの調査を実施した。2)では、これまでにクィア女性によってどのような空間や場所の構築が試みられてきたのかを検討するため、「パリ女性の家」内に設置されている「レズビアン文化研究アーカイブ」の協力を得て、過去に発行された団体による報告書やジン、イベント・デモ行進のパンフレット、ガイドブックなどを用いてパリにおけるクィア女性と空間および移動に関する資料を収集した。3)では、パリの都市空間において性的マイノリティの空間的実践がどのように分布しているのかを検討するため、フィールドワーク調査を実施し、その内容を地図化した。 調査から得たデータは3つの議論をする上で欠かせないものであった。1)セクシュアリティの地理学において論じられる「クローゼット・スペース」(Brown, 2000)の議論を参照しつつ、パリにおけるLGBTI難民による「クローゼット空間」の創出と変容を論じること。2)パリのフェミニズム・クィア女性による活動を対象に、クィア女性たちがいかに都市空間において独自の空間や場所を創出しようとしているのかを論じること。3)「セクシュアリティの地理学」の研究動向を、特にフランスの地理学の文脈から論じ、フランス社会における性的マイノリティによる空間・場所について検討すること。2022年度後半からは以上の内容を論文としてまとめる作業に取り掛かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた女性難民へのインタビュー調査の実施が難航していることが、計画との間の大きなずれとなっている。その要因として、新型コロナ感染症拡大を受けて、パリ市内の市民活動の状況および、活動の受け入れ態勢が、計画書作成当初とは大きく変わったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、性的マイノリティによる都市空間での「クローゼット空間」と場所構築の議論を難民女性の文脈から論じることを予定していたが、上記の通り調査内容の変更を余儀なくされたため、2022年度はその対象を広げクィア女性に関する調査および検討を行った。そこで行った議論からは、クィア女性たちによる活動および運動の過程における「クローゼット空間」の議論の重要性が確認できたため、引き続き大きな研究枠組みは変更せず、対象を広げつつ研究を進める。
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