Project/Area Number |
22KJ1397
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Project/Area Number (Other) |
21J20049 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 29010:Applied physical properties-related
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
宮武 知範 横浜国立大学, 大学院理工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 層状Ni酸化物 / 高温超伝導 / 元素置換 / キャリアドープ / ニッケル酸化物 / 層状化合物 / 新超伝導体 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、現在大気圧下で最高の超伝導転移温度Tc=135Kをもつ銅酸化物高温超伝導体(HTSC)の超伝導機構解明と更なるTc向上に対して、類縁物質探索というアプローチで貢献する。すなわち、HTSCと同じ結晶構造・電子的特徴を持つ銅以外の酸化物に着目して、キャリア注入・圧力印加等により徹底的にHTSCの電子状態を模倣して超伝導発現を検証し、構造解析・物性測定によりHTSCとの一致点・相違点を明らかにする。これにより、高温超伝導発現の必要条件を抽出してTc向上の指針を得るとともに、新たな高温超伝導物質群の開発に寄与する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では層状Ni酸化物R4Ni3O8(R=Pr,Nd)に着目し、NiサイトをTi4+,Cr3+,Co2+,Cu+で元素置換することでキャリア量調節を行い、Ni-3d電子数を最適ドープ3d8.85に近づけることを試みた。 ①X線吸収微細構造実験の結果を解析し、元素置換によりNiサイトにホールドープされることを明らかにした。電荷中性から期待される電子ドープとは逆の振る舞いであるが、Niよりも3d電子数の少ないドーパント元素が電気伝導に寄与することで説明できる。②粉末中性子回折実験の結果を解析し、ドーパント元素はドープ量が少ない場合に限り、二つあるNiサイトのうち一方を優先して占有することを明らかにした。元素置換量が少ない方のNiO2面には酸素欠損が無いことも明らかにし、超伝導の舞台となり得ることが分かった。 ③熱起電力測定を行い、元素置換によりNiO2面全体として電子ドープされることを明らかにした。Niサイトへのホールドープと相反するが、酸素サイトが電子ドープされることで説明できる。しかしNiO2面全体のキャリア数が最適ドープ付近に到達していないことが判明し、これが超伝導発現しない原因と考えられる。 ④酸素サイトのフッ素F置換では、フッ素源をテフロンからCuF2に変更することで、より穏やかな条件でフッ素置換が可能になることを明らかにした。一方、フッ素のドーピングサイトのコントロールは困難であり、超伝導化には至らなかった。⑤電界効果ドーピングでは、電極やイオン液体の再検討により1Kまで安定して電気抵抗測定を行うことに成功した。しかし、5Vのゲート電圧を印加しても超伝導化には至らなかった。試料が多結晶であることも鑑みて更なるデバイス改良が必要と考えられる。 本研究はR4Ni3O8に対するNiサイト置換効果およびキャリアドーピングを初めて報告したものであり、今後の研究進展の基礎を築いた。
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