Project/Area Number |
22KJ1420
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Project/Area Number (Other) |
22J10244 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
岩下 夏岐 (2023) 総合研究大学院大学, 文化科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Research Fellow |
岩下 夏岐 (2022) 総合研究大学院大学, 文化科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 高齢者 / リハビリテーション / 文化人類学的研究 / ヘルスプロモーション / ウェルビーイング / タイ / 人類学的研究 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、タイの高齢者リハビリテーション施設において、高齢者やケアに関わる人々によって作られるコミュニティが、リハビリテーションの効果にどのような影響をもたらしているのか、文化人類学的手法を用いて明らかにすることである。補助事業期間の初年度は、タイのパトゥムタニ県にある高齢者リハビリテーション施設において、助手として現場の人々と共に活動し、フィールドワークを実施した。2023年度は、フィールドワークで収集した資料とインタビューデータを分析し、論文を執筆する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はタイ都市部にある高齢者のための通所型リハビリテーション施設(以下、デイケア)において、高齢者やケアに関わるボランティア等、デイケアに集う人々によって作られるコミュニティが、リハビリテーションの効果にどのような影響をもたらしているのか、文化人類学的手法を用いて明らかにすることである。 約1年間のフィールド調査の結果、デイケアを利用する高齢者とその家族には健康増進という共通するニーズがある一方で、高齢者は孤独の解消、家族は安心感やレスパイトケアを求めているということが明らかになった。後者のニーズの背景には、日中、同居する家族が、学校や職場に行って留守にするという都市的なライフスタイルの影響があった。こうしたニーズを受けて、デイケアのスタッフは時に医療専門職として高齢者の健康増進を図り、時に擬似的な家族のような親密な関係性をもって、高齢者と関わりをもっていた。またデイケアは親しみを込めて「私たちの家」、「私たちの学校」と呼ばれていた。つまりそれは、デイケアが単に健康増進に関するサービスを提供する場ではなく、心身ともに満たされた状態であるウェルビーイングを促進する場として機能していたと解釈できる。こうした機能を可能とするデイケアでの人々の関係性と実践について、今後、特にウェルビーイングとヘルスプロモーションという2つの視点を参考に分析をすすめていく。 従来、リハビリテーション研究は治療関係を結ぶ二者という構図で分析されることが多かった。本研究はそうした画一的な視点から分析の幅を広げてデイケアの現場を捉えることを試みた。結果、実践の中で多様な関係性が見出され、さらに分析が必要な事象が観察された。それは今後、医療従事者とクライエントとの関係のあり方について新たな知見を得る可能性があり、特にリハビリテーション教育と臨床実践という点で、知見を活かすことができると思われる。
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