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18~20世紀における身振りの思想史の解明――ドイツとフランスを結ぶ新たな身体論

Research Project

Project/Area Number 22KJ1474
Project/Area Number (Other) 22J01222 (2022)
Research Category

Grant-in-Aid for JSPS Fellows

Allocation TypeMulti-year Fund (2023)
Single-year Grants (2022)
Section国内
Review Section Basic Section 01040:History of thought-related
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

高屋敷 直広  金沢大学, 学校教育系, 特別研究員(PD)

Project Period (FY) 2023-03-08 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Keywords身振り / 身体 / 肉体 / ニーチェ / ハイデガー / カント / バタイユ
Outline of Research at the Start

本研究は、現代ドイツの哲学者M・ハイデガーにおける「身振りの哲学」を基軸に据えて、18世紀まで遡るその前史と20世紀で展開された影響作用史を踏まえながら、これまで隠されてきた「身振りの思想史」を解明するものである。
本研究が扱う「身振り」とは、通常の「身振り手振り」に留まらず、身体の生身の側面を備えつつも、物理的な距離に縛られずに人間が相互に関わり合う態度を意味する。本研究は、主にI・カントからM・メルロ=ポンティまでを視野に入れて、この態度が身体論において争点となってきたことを発展史的に明らかにし、近現代ドイツ思想とフランス現代思想を結ぶ新たな身体論を提示する。

Outline of Annual Research Achievements

本研究課題は、M・ハイデガーにおける「身振り(Gebaerde)」という概念を手掛かりに、18~20世紀に潜む「身振りの思想史」を明らかにし、近現代のドイツとフランスにまたがる新たな身体論を解明するものである。身振りとは、たんなる「肉体(Koerper)」の日常的な「身振り手振り」や「運動」とは異なり、「身体(Leib)」を通じた生き生きとした相互関係のなかで、自己と他者が互いの固有さと異質さをあらわにし合うあり方を意味する。以下の報告は、研究計画調書記載の区分【A-D】にしたがう。
前年度までには、身振り概念の源流と見定められたI・カントの身体論において、人間の「肉体」にたんなる「物体」と根源的な「身体感覚」という二つの意味が区別され、後者に「身振り」の萌芽的な含意が見出されうる点を解明した(研究A)。同時にG・バタイユとハイデガーの比較検討から、「肉体」に物体以上の生々しい現実的な側面とその多義性がある点を明らかにし、他者に関係する際の「身振り」の制限も看取できた。
本年度の主要な研究は、カントの身体感覚およびフッサール現象学との関連を見据えながら、F・ニーチェの身体論における身振りの含意を検討することであったが(研究B)、『善悪の彼岸』や遺稿集の読解を通じて、ニーチェの主観・自我・実体等への徹底的な批判において、「肉体」よりも「身体」に重心が置かれ、身体が伝統的な知情意の総合体として世界に働きかける生の担い手(自我や実体とは呼べない動的なあり方)を意味しうる点まで明らかにした。またニーチェのカント理解、および前批判期のカントにおける身体への着眼等の検討から、従来あまり目立たなかったが、世界との接点として身体を根底に置くという点でのニーチェとカントの近さが看取できた。このように身体が元来何かと動的に関わっているという性格は、身振りにつながりうる重要な前史だと言える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究課題の進捗状況については、以下の通りである。
報告者は、受入研究者と定期的な研究打合せを重ね、主に『ツァラトゥストラはこう言った』、『善悪の彼岸』、全集における遺稿集といった身体に関わるニーチェの一次文献の読解、「空間における方位の区別の第一根拠について」といったカントの前批判期の論文や批判期の『純粋理性批判』の読解、およびそれらに関連する国内外の二次文献の精査に取り組み、上記の通り、カントとニーチェにまたがる身体の根本的な動性を解明した。
他方その際に、区別されつつも「肉体」の意味さえ含みうるニーチェの多義的な「身体」をより厳密にどう解釈すべきか、またフランス現代思想まで考慮した場合に「身体/肉体」の区別を超えたさらなる観点として「身振り」をどう位置づけられるのか、というより困難な課題を新たに見出すことにもなった。
そのため、ニーチェの身体論と、E・フッサールにおける身体のキネステーゼに潜む身振りの含意との関係を解明するまで研究を進めることはできず、上記の成果を論文等によって公表するまでには至らなかった。この点で、自己点検としては(3)の評価を下した。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題の今後の推進方策については、以下の通りに考えている。
まずは、論文等によって公表するまでに至らなかったニーチェ身体論の研究成果を公表する(研究Bの仕上げ、日本哲学会等の主要学会での査読論文通過を目指す)。
その上で、フッサール現象学の身体論における身振りの含意の検討、およびM・メルロ=ポンティやD・フランクらを中心とするフランス現代思想における身体論の検討を重ね、研究課題の最終目標である「身振り」を通じた新たな身体論の解明に迫っていく(研究C・D)。
その際に、上記の通り見出された、「肉体」の意味も含みうるニーチェの多義的な「身体」をより厳密にどう解釈すべきか、またフランス現代思想まで視野に入れて「身体/肉体」の区別を超えたさらなる観点として「身振り」をどう位置づけられるのか、というより困難な課題に対しては、カントやニーチェから看取された身体の動性やハイデガーにおける身振りの動性だけでなく、それらの双方に孕まれさえしうる肉体の含意にもより厳密に着眼してその多義性を分節化していくことにより、身振りに還元されえない肉体の意義を明らかにしながら、身振りの概念上の固有な位置付けを析出していく。

Report

(2 results)
  • 2023 Research-status Report
  • 2022 Annual Research Report
  • Research Products

    (2 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 「身振り」から漏れえる「肉体」――ハイデガー身体論の先へ2023

    • Author(s)
      高屋敷直広
    • Journal Title

      Zuspiel

      Volume: 6 Pages: 27-37

    • Related Report
      2022 Annual Research Report
    • Open Access
  • [Presentation] 存在を語る口と身体――バタイユとハイデガーにおける言葉の根源をめぐって2022

    • Author(s)
      高屋敷直広
    • Organizer
      近現代思想史研究会
    • Related Report
      2022 Annual Research Report

URL: 

Published: 2022-04-28   Modified: 2024-12-25  

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