Project/Area Number |
22KJ1498
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Project/Area Number (Other) |
22J40021 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 17020:Atmospheric and hydrospheric sciences-related
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
関 有沙 (2023) 信州大学, 理学部, 特別研究員(RPD)
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Research Fellow |
関 有沙 (2022) 信州大学, 理学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 日本海 / 中新世 / 古気候 / 古海洋 / XRFコアスキャナー / ITRAX / マイクロXRFマッピング / 堆積物 / 石灰質微化石 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ラミナ構造を持つ日本海堆積物を用いて日本海中新世の古海洋環境変動を復元し、ラミナ堆積物の生成要因となった短周期(千年スケール)気候変動の要因を解明することを目的とする。具体的には、IODP(統合国際深海掘削計画)で掘削された日本海海底堆積物コア(Site U1425・U1430)と、陸上露頭の日本海堆積物を用いて、XRFコアスキャナー等による堆積物の化学分析と貝形虫等の微化石の群集解析・殻の化学分析により、異なる水深の海洋底層環境を復元し、海洋の鉛直構造を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、現在よりも温暖であった中新世における短周期気候変動を理解することを目的とし、中新世日本海の古海洋環境を三次元的に復元するため、堆積水深の浅い陸上露頭の堆積物と堆積水深の深い海底堆積物の両者を用いて、生物的・化学的分析の両面から研究を行なっている。 本年度は、能登半島に分布する日本海中新世堆積物の調査と試料採取を行った。陸上露頭で採取した試料は大学に持ち帰り、試料処理と微化石の観察を行った。その結果、貝形虫化石群集から復元された古環境が現在よりも暖かい環境であることがわかり、国内学会で2件の共著発表を行った。 また、昨年度に引き続き、IODP(統合国際深海掘削計画)で掘削された日本海海底堆積物コア(U1425地点・U1430地点)を用いて XRFコアスキャナーで測定した元素組成データの解析も行なった。昨年度に得た標準試料の測定結果をまとめ、定量分析手法に関する口頭発表を行うと共に論文原稿を執筆した。また、Tortonian Thermal Maximum と呼ばれる温暖期(約1080万年前)の後に、海水準変動に同調していると考えられる4万年周期の特徴的な酸化還元環境の変動があることを明らかにし、国内学会で口頭発表を行った。 年度当初には予定していなかったが、まだ地球惑星科学分野で日本では導入されていないコア試料のマイクロXRFマッピングのデモ機(M6 JETSTREAM, Bruker)の分析に参加する機会を得たため、中新世日本海堆積物の分析を行った。デモ機では堆積物コアを用いて0.1mm×0.1mmの解像度の元素マッピング分析を非破壊で行い、堆積物の平行葉理1枚ごとに異なる元素が濃集していることを明らかにした。この結果を既に得ていたXRFコアスキャナーの分析結果と比較し、国内学会でポスター発表を行った。デモ機では依頼を受けてインド洋堆積物コアも分析し、国際共同研究に参加する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者の分析により、当初調査を予定していた一部の陸上露頭の堆積物が本研究の目的に適していないことがわかり、陸上露頭の調査は1ヶ所にとどまった。
一方で、令和5年度から開始された地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)のリポジトリコア再解析プログラム(ReCoRD)に「中新世日本海の古気候・古海洋」と題した提案が採択され、当初予定していた試料よりもより深い水深(794地点・795地点・797地点)で堆積した中新世日本海堆積物を研究できることになった。筆頭提案者としてプログラムの立案や参加の呼びかけ、参加者間の調整をするなど、順調に進んでいる。 そのため、全体的に見て、研究は概ね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の研究成果をもとに、Tortonian Thermal Maximum と呼ばれる温暖期と、ラミナ(平行葉理)堆積物に記録された数百年以下の短周期の古海洋変動の2点に着目した、「中新世日本海の古気候・古海洋」という研究計画を地球掘削科学コンソーシアムのリポジトリコア再解析プログラムに筆頭提案者として提案した。本提案は令和5年度後半に採択され、令和6年度に行われる予定である。既に20名以上の参加者が集まり、珪質/石灰質微化石・有機/無機化学・堆積物物性・AIなど様々な専門家が協力して研究を進める予定である。筆頭提案者として取りまとめや各種調整を行い、共同研究が円滑に進むようにすると共に、新たに794地点・795地点・797地点で採取された中新世日本海堆積物のXRFコアスキャナー分析を行い、他の共同研究者の試料採取位置に有用なデータを提供する。また、XRFコアスキャナー結果は生物生産性や酸化還元環境などの古海洋復元にも活用する。 また、令和6年度には引き続き、令和5年度に採取した試料に含まれる微化石の群集組成を調べると共に、化学分析も行う予定である。 これまでの結果をまとめた論文原稿は来年度中に投稿する予定である。
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