Project/Area Number |
22KJ1513
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Project/Area Number (Other) |
21J01573 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤田 翔 名古屋大学, 情報学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 時空の創発 / 抽象性 / 物理学の哲学 / 量子重力理論 / 実在 / 同一性 / 対称性 / 因果 / 構造 / 唯名論 |
Outline of Research at the Start |
本年度の研究は、去年度と一昨年度の研究の集大成として、時空概念をより一層拡張した抽象的な物理領域に関する帰結を得ることである。 仮想粒子の運動する位相空間や時空が創発する土台など、現代物理学が時空そのものを前提としない物理現象に関して多くの描像を考察してきた。今回は再び時空概念に戻ることで、時空概念のどういった側面が、拡張された物理領域の重要な役割を担っているのかという観点で、現代物理学の特徴とそれが与える世界像をまとめていきたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究テーマの最終年度ということで、前年度に考察していた物理学理論が示唆する抽象的な世界と時空概念との関わりを物理学の哲学、形而上学的な文脈でより発展的に研究した。最先端の物理学理論の候補である量子重力理論においては、時空間は物理領域の最も基礎的な枠組みではなく、より基礎的な存在から創発したという、時空の創発の議論がある。物理領域の抽象性に関しては、時空を土台付ける数学的な枠組みのうち、距離や方向といった自明な計量概念による時空間の直観的な性質だけでなく、例えば接続や位相といったより抽象的な性質も時空の本質であるという可能性の示唆が前年度の考察で得られたが、この基礎的な存在と時空の創発の関連性は極めて曖昧である。 そこで直観的なメレオロジー的観点に従えば、時空はミクロに分解すれば、より基礎的な存在者によって構成されているという描像が得られる一方で、全体こそが最も基礎的であるという前提で、時空の創発を擁護するためには、逆に時空構造によって基礎的な構造が構成されるという発想もあり得る。すなわち、基礎的な存在は「時空間全体を構成するミクロな部分系」ではなく、「マクロな時空構造という部分によって、構成される全体構造」であるという、全く逆の世界像も得られるのである。 申請者はこの真逆の世界像を7月にアルゼンチンで開催された哲学系の国際会議で発表し、3年間の一連の考察を通して、この後者の世界像こそが、時空領域は物理領域の一部(一例)に過ぎないという本テーマの帰結の根拠になり得ると考えた。この筋道に沿って論文執筆を検討しているが、年明けには育児休会に入ったために、翌年度に継続となった。一方で、抽象的な世界像の構築に向けて、時空領域を前提としていたはずの因果概念さえ抽象化される可能性を、量子重力理論の一候補である因果集合論の文脈でも考察し、研究誌『人文学の正午』に投稿して年度末に掲載に至った。
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