Project/Area Number |
22KJ1589
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Project/Area Number (Other) |
22J15862 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
周戸 大季 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 筒状芳香族分子 / ナノベルト / ヘテロ原子含有ナノベルト / 縮環チオフェン / シクロパラフェニレン / フルオロシクロパラフェニレン / STM / カーボンナノリング |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ナノベルト類の精密な有機合成を行う。カーボンナノベルトは筒状構造を有する分子である。我々は全てまたは半数がフッ素基で置換されたシクロパラフェニレン(CPP)と呼ばれる環状分子F-CPPの合成を達成している。F-CPPは置換可能なフッ素基を多数の有することで置換基導入が可能である。このようにF-CPPをプラットフォームとしながら、フェニレン置換と脱水素縮環反応とよばれる炭素-炭素結合形成反応を行うことや、ヘテロ原子の導入によって多様なナノベルト類で合成が期待できると考えている。
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Outline of Annual Research Achievements |
筒状構造を有する芳香族化合物は、70年ほど前から合成化学と物理有機化学の両方で大きな関心を集めてきた。筒状芳香族分子の合成は本来平面構造をもつベンゼン環を大きくひずませ、多数の結合を形成する必要があるため難易度が高い。ベンゼン環が全て縮環した筒状芳香族分子であるカーボンナノベルト(CNB)は大きなひずみエネルギーにより合成は極めて困難とされていた。シクロパラフェニレン(CPP)は2000年代終盤に初めて合成が達成されたカーボンナノチューブの部分構造のひとつであるが、最近我々が合成した全てまたは半数がフッ素基で均一に置換されたF-CPPの変換を基軸に、筒状分子の合成を目指してきた。 本研究員は半数がすべてのベンゼン環のオルト位でフッ素置換されたF-CPPに対して、フッ素基による硫黄架橋反応を施すことによって一挙にベルト状構造への変換を行なった。本手法で得られた化合物は、CPPを硫黄架橋した構造かつシクロチオフェニレンをエチレン架橋した構造とみなすこともできる構造を有しており、チオフェンベルトと名付けた。チオフェンベルトはこれまでのヘテロ原子含有ナノベルトとは異なって円錐を輪切りにした形状、すなわち円錐台構造を有している。さらにリングサイズの異なる2種類のチオフェンベルトの合成および単離に成功した。これによって振動構造をもった蛍光および燐光を有することが明らかとなった。また、チオフェンベルトは単結晶X線構造解析およびDFT計算によって溶媒系によらずカラムナー積層かつ極性結晶性を有することが示された。ドイツミュンスター大学への留学および共同研究によってチオフェンベルトのSTM測定およびシミュレーションを行った結果、Cu(111)面では2次元シート構造およびAu(111)面では1次元状に自己集合することが明らかとなった。
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