Project/Area Number |
22KJ1624
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Project/Area Number (Other) |
22J14154 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 35030:Organic functional materials-related
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Research Institution | Institute for Molecular Science (2023) Nagoya Institute of Technology (2022) |
Principal Investigator |
塚本 兼司 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | π共役化合物 / 反芳香族性 / シクロペンタジエン / チオフェン / 有機半導体材料 / 直接アリール化反応 |
Outline of Research at the Start |
有機半導体は軽量で柔軟性に富み、かつ簡便な成膜プロセスによる製造が可能であることから、大面積デバイスやウェアラブル端末などへの応用が期待できる材料である。一方で、その電荷輸送特性は不十分であり、改善を必要とする。 近年、有機化学分野において反芳香族性という性質が注目を集めている。本性質は高い酸化還元特性や分子間の密なパッキングをもたらすことから、その活用は高性能有機半導体材料を実現しうる有力な手法である。一方で、当該性質は化合物の安定性を損ねる側面を有するため、これまでデバイス材料での応用は十分になされてこなかった。本研究では、当該性質のデバイス応用を促進するため、その制御手法の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分子内のチエノシクロペンタジエン(TP)環の数と位置が分子の反芳香族性に与える影響に注目し、ピレンを母骨格とした新規π共役化合物群の合成およびその物性解明に取り組んだ。2022年度は目的化合物群を得るため合成条件の検討を行い、Pd触媒を用いた分子内C-Hアリール化反応によってピレンの3,4位をまたぐ一箇所にTP環を形成した目的物(1TP)を得ることに成功した。 2023年度は、TP環の数と形成位置が異なる三種類の化合物合成および物性解明を行った。1TPの合成に用いた反応条件を各目的物前駆体に適用したところ、ピレンの3,4位と8,9位の二箇所でそれぞれTP環を形成するもの(trans-2TP)は、反応が進行し目的物が得られた一方で、3,4位と5,6位の二箇所でTP環を形成するもの(cis-2TP)および3,4位と5,6位、8,9位、1,10位の四箇所でTP環を形成するもの(4TP)では目的物の生成は確認できなかった。このため、再度反応条件の最適化を行った。種々の検討の結果、cis-2TPおよび4TPの合成を共に達成した。得られた四種類の化合物(1~4TP)はいずれも室内光および大気下において安定であった。 各目的化合物のNMR測定では、TP環形成数の増加に伴いピレン骨格上の2,7位のプロトンシグナルが高磁場側へと大きくシフトしていくことが観測された。理論計算の結果からこのシフトが、2つ以上のTP環形成による反芳香族性の発現とTP環数の増加に伴う反芳香族性の増大に起因するものであることが示唆された。各化合物の電気化学特性を評価したところ、それらの最高被占軌道準位がほぼ同程度であったのに対し、最低空軌道準位はTP環数の増加に伴い大きく低下することが明らかとなった。特に4TPは、n型半導体特性を示す上で重要となる十分に低い最低空軌道準位を有することが判明した。
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