チンパンジーのエスノグラフィの理論と実践

• Project/Area Number: 22KJ1639
• Project/Area Number (Other): 20J40285 (2020-2022)
• Research Category: Grant-in-Aid for JSPS Fellows
• Allocation Type: Multi-year Fund (2023); Single-year Grants (2020-2022)
• Section: 国内
• Review Section: Basic Section 08010:Sociology-related
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: 西江 仁徳 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(RPD)
• Project Period (FY): 2023-03-08 – 2024-03-31
• Project Status: Completed (Fiscal Year 2023)
• Budget Amount: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000); Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000); Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000); Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000); Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
• Keywords: チンパンジー / 動物 / エスノグラフィ / フィールドワーク / 動物研究 / 動物記 / 科学コミュニケーション

Outline of Research at the Start

タンザニア・マハレで1965年から継続されてきた野生チンパンジー調査の研究史にもとづきながら、チンパンジー研究の長期データ、チンパンジーの社会的相互行為の調査、現地住民や調査助手からの聞き取り、過去の写真やノートといったアーカイブデータを用いて、野生チンパンジーのエスノグラフィを多角的・重層的に記述する。また、動物のエスノグラフィの実践に関わる理論的な問題を整理し、これまで人間を対象におこなわれてきたエスノグラフィの拡張を目指す。

Outline of Annual Research Achievements

2023年度は、本研究課題に関わる「動物のエスノグラフィ」プロジェクトの一環として、新・動物記シリーズ（京都大学学術出版会）第８巻を刊行し、既刊第７巻の著者によるトークイベントを企画・実施した。また本シリーズ続巻の刊行に向けた準備も進めた。日本霊長類学史を再構築するための研究資料のアーカイブ化へ向けた予備作業として、画像データのデジタル化や紙資料の整理作業を進めた。動物系の学会だけでなく、生物学史や動物表象論、身体性の人類学、学問フェスなど、多様な場で「動物を観察する動物研究者の立場と視点」というテーマで研究発表をする機会を作り、動物のエスノグラフィに関わる学際的な議論を深めることができた。
本研究課題期間を通じて、チンパンジーのエスノグラフィの理論と実践という課題に対して、コロナ禍もありながら野生チンパンジーのフィールドワークを再開し、これまでの成果をまとめつつチンパンジーのエスノグラフィを執筆する作業に取りかかることができた。また動物のエスノグラフィを学問的な成果として発表する場として、単行本シリーズ「新・動物記」（京都大学学術出版会）を企画立案し、シリーズ共同編者として２０２１年６月の創刊から現在まで８巻の動物記を世に出すことができた。この新・動物記プロジェクトは本研究課題終了後も継続発展させていくため、本研究課題期間に実施してきた動物のエスノグラフィに向けた理論的な整備と実践的なメディア構築が、本プロジェクトとして結実し発展させていく基盤となったことは大きな成果であった。

Research Products

• [Journal Article] 「動物のエスノグラフィ」事始め (2022)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Journal Title: 生態人類学会ニュースレター Volume: 28 Pages: 41-45
  • Peer Reviewed / Open Access
• [Presentation] 身体の環境化、環境の身体化：動物を追う身体の変容 (2024)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Organizer: 身体性の人類学―「もの」の人類学的研究(4)― 2023年度第2回研究会
• [Presentation] 動物研究者は何を代理＝表象するか：フィールド動物研究の本音と建前 (2023)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Organizer: 動物表象研究会
• [Presentation] チンパンジーの「わからなさ」を記述する：チンパンジーの心の存在論と認識論 (2023)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Organizer: 日本動物行動学会第42回大会
• [Presentation] 生態的参与観察の来し方と行く末：フィールド動物研究の観察実践 (2023)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Organizer: 2023年日本科学史学会生物学史分科会 夏の学校
• [Presentation] 『待つ』：動物の行動を記述する動詞 (2023)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Organizer: VerbFeS＠2023年マキコミヤの祭り
• [Presentation] 「動物記」を書く：『新・動物記』シリーズへの誘い (2022)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Organizer: 日本動物行動学会第41回大会
• [Presentation] チンパンジーは＜死ぬ＞のか：チンパンジー死生学再考 (2022)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Organizer: 公開シンポジウム「ライフヒストリー：サルとヒトの誕生・成長・死」
  • Invited
• [Presentation] 来たるべき動物記のために：新・動物記シリーズの構想と実践 (2022)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Organizer: 国立民族学博物館共同研究会「「描かれた動物」の人類学 ―動物×ヒトの生成変化に着目して」
  • Invited
• [Presentation] 「動物のエスノグラフィ」事始め (2022)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Organizer: 生態人類学会第27回研究大会
• [Presentation] チンパンジーの／と共に環境を探索する (2021)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Organizer: 京都人類学研究会8月季節例会
• [Presentation] チンパンジーが食べるアリを食べてみる：野生チンパンジー研究者のオートエスノグラフィ (2021)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Organizer: 日本文化人類学会第55回研究大会
• [Presentation] 「動物のエスノグラフィ」事始め (2021)
  • Author(s): 西江仁徳
  • Organizer: 生態人類学会第27回研究大会
• [Book] 土の塔に木が生えて : シロアリ塚からはじまる小さな森の話 (2023)
  • Author(s): 山科千里（シリーズ編集：黒田末壽、西江仁徳）
  • Total Pages: 277
  • Publisher: 京都大学学術出版会
  • ISBN: 9784814004621
• [Book] 白黒つけないベニガオザル : やられたらやり返すサルの「平和」の秘訣 (2023)
  • Author(s): 豊田 有（シリーズ共同編集：黒田末壽、西江仁徳）
  • Total Pages: 262
  • Publisher: 京都大学学術出版会
  • ISBN: 9784814004515
• [Book] アザラシ語入門 : 水中のふしぎな音に耳を澄ませて (2022)
  • Author(s): 水口 大輔（シリーズ共同編集：黒田末壽、西江仁徳）
  • Total Pages: 208
  • Publisher: 京都大学学術出版会
  • ISBN: 9784814004393
• [Book] カニの歌を聴け : ハクセンシオマネキの恋の駆け引き (2022)
  • Author(s): 竹下 文雄（シリーズ共同編集：黒田末壽、西江仁徳）
  • Total Pages: 192
  • Publisher: 京都大学学術出版会
  • ISBN: 9784814003952
• [Book] わざの人類学 (2021)
  • Author(s): 床呂 郁哉
  • Total Pages: 368
  • Publisher: 京都大学学術出版会
  • ISBN: 9784814003754
• [Book] 夜のイチジクの木の上で (2021)
  • Author(s): 中林 雅
  • Total Pages: 250
  • Publisher: 京都大学学術出版会
  • ISBN: 9784814003563
• [Book] 出会いと別れ (2021)
  • Author(s): 木村 大治、花村 俊吉
  • Total Pages: 374
  • Publisher: ナカニシヤ出版
  • ISBN: 9784779514982
• [Book] 隣のボノボ (2021)
  • Author(s): 坂巻 哲也
  • Total Pages: 292
  • Publisher: 京都大学学術出版会
  • ISBN: 9784814003365
• [Book] 武器を持たないチョウの戦い方 (2021)
  • Author(s): 竹内 剛
  • Total Pages: 244
  • Publisher: 京都大学学術出版会
  • ISBN: 9784814003372
• [Book] キリンの保育園 (2021)
  • Author(s): 齋藤 美保
  • Total Pages: 246
  • Publisher: 京都大学学術出版会
  • ISBN: 9784814003334
• [Remarks] 動物研究の最前線から届くドキュメンタリー・シリーズ 新・動物記（京都大学学術出版会）
  • URL: https://www.kyoto-up.or.jp/series.php?id=157