Project/Area Number |
22KJ1676
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Project/Area Number (Other) |
21J21091 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 47040:Pharmacology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 千紘 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | うつ病 / ストレス耐性 / セロトニン神経 / 網羅的遺伝子発現解析 / 網羅的遺伝子発現変動解析 |
Outline of Research at the Start |
うつ病は近年患者数が急増しており、社会生活にも支障をきたす疾患であることから大きな問題となっている。治療にはセロトニンという神経伝達物質を増やすような薬 (SSRI) が繁用されるが抵抗例も多く、発症や治療の分子機序は未だ明らかになっていない。 そこで本研究では、最大のセロトニン神経核である背側縫線核のセロトニン神経に着目し、この神経特異的に抗うつ薬投与時・うつ病態時にどのような遺伝子発現変動が起こっているかを調べることで、うつ病の分子メカニズムを明らかにするとともに、より効果的かつ副作用の少ない新たな抗うつ薬を創出することを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
申請者は前年度までに、ストレス耐性形成に重要な役割を果たすことが示唆される背側縫線核(DRN)セロトニン神経に着目し、翻訳リボソーム親和性精製(TRAP)の手法を用いてこの神経の翻訳中mRNAを分取することで、抗うつ薬投与時およびうつ病態モデル作製時における遺伝子発現変動を網羅的に解析した。その結果、S100a10が抗うつ薬投与時に減少・うつ病態モデルでは増加していることが明らかとなり、実際にDRNセロトニン神経特異的なS100a10のノックダウンが抗うつ薬様効果を引き起こすことを明らかにした。また、このS100a10のノックダウン時にはDRNにおけるセロトニン1B受容体の減少が見られたことから、この受容体についてもDRNセロトニン神経特異的なノックダウンを行ったところ、抗うつ薬効果が見られたことから、S100a10の下流分子としてセロトニン1B受容体が重要な役割を果たす可能性を見出した。本年度はこれらの知見に加え、IPAを用いた上流予測からIL4-STAT6経路の活性化がS100a10の発現抑制に関わっている可能性に着目した。実際に、DRNにおけるIL4産生量およびリン酸化STAT6の発現は抗うつ薬投与後7日目で一過性に増加しており、IL4をDRNに局所注入すると抗うつ薬様効果の発現とS100a10の発現減少が見られることを確認した。さらに、STAT6の機能欠失変異体をDRNセロトニン神経に特異的に発現させると、尾懸垂試験においてうつ様症状が見られ、IL4-STAT6経路の活性化がS100a10の発現抑制と抗うつ薬様効果の発現に重要な役割を果たしていることが示唆された。以上のように、申請者は研究期間においてDRNセロトニン神経におけるストレス耐性形成の背景にある分子メカニズムの一端を明らかにした。
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