Project/Area Number |
22KJ1678
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Project/Area Number (Other) |
21J21188 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 幹生 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2021: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | アウグストゥス / 神君アウグストゥスの業績録 / セネカ / ネロ / 記憶 / ウェレイウス・パテルクルス / ティベリウス / カエサル / 古代ローマ / ローマ帝政 / 古代史 / ローマ共和政 / 政治 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、記憶の観点から、古代ローマにおいて帝政がいかに人々の間で認識され、浸透していったのかを考察することを目的としている。一般的に、帝政は、前27年に開始されたといわれているが、彼は共和政的な枠組みを重視しながら、政治の舵取りを行ったように、共和政的な価値観が急激に消滅し、帝政が前27年に突如として成立したわけではない。そこで、本研究は帝政前期のなかで共和政的な価値観はいかに変化・消滅し、新たなる政治体制の創始者としてのアウグストゥスの記憶が再構成されていったのかを検討するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず昨年度査読付き雑誌への修正つきでの掲載が決定していた論説の修正にあたった。この論説の内容は、一昨年の第89回西洋史読書会大会にて学会報告したもので、前年度に査読結果が返却された際に、修正意見として、先行研究と本論説の関係・意義づけに関するものが出されていた。そこで、とりわけ史料として用いていた、ウェレイウス・パテルクルスの『歴史』に関する先行研究を改めて整理し直すとともに、本論説の主張を先行研究と比較しながらより明確に打ち出せるよう議論の再検討を行った。そしてその結果として、『史林』第106巻6号に掲載されるに至った。 続いて、新たな研究としてセネカの諸著作を中心にしたネロ期におけるアウグストゥスの記憶に関する研究を進めた。この研究では当初、セネカの著作『アポコロキュントシス』と『寛恕について』において、『神君アウグストゥスの業績録』(以下、業績録と略記)というアウグストゥス自身が書き残した史料の引用のされた方が異なっている点に注目した。そして、この相違点を時間的な変化と捉え、両著作が公刊される間に起こった出来事に着目し、この変化との因果関係を検討した。その成果を日本西洋古典学会第73回大会にて、口頭報告を行った。この報告と質疑応答により、セネカの諸著作から見られるアウグストゥス像をどの程度一般化できるのかという問題、セネカが自身の主張に合わせて『業績録』の引用方法を適宜選んだ可能性が浮き彫りになった。以上の問題点の浮上により、視点を変え、『業績録』が記憶を伝えるメディアとしていかに機能したのかという問題を、ネロ期を中心に検討していくことにした。そして以後は、『業績録』の設置場所やそこでの実践に注目しながら、『業績録』によるアウグストゥスの記憶の形成に関する問題の検討を進めた。そして、上記の研究成果をまとめ、論説として『西洋史学』に投稿するための準備を行った。
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