霊長類線条体コンパートメント構造の神経機構と不安生成メカニズム
Project/Area Number |
22KJ1760
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Project/Area Number (Other) |
21J40030 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 51020:Cognitive and brain science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
雨森 智子 (2021, 2023) 京都大学, 高等研究院, 研究員
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Research Fellow |
雨森 智子 (2022) 京都大学, 高等研究院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
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Keywords | 神経生理学 / マカクザル / 大脳基底核 / 線条体 / 神経解剖学 / ストリオソーム / 霊長類 / 不安障害 |
Outline of Research at the Start |
線条体ストリオソーム/マトリックス構造は1970年代に発見され、ハンチントン病やジストニアなどの神経変性疾患への関与が明らかになっているものの、その機能についてはほとんど分かっていません。本研究は、ストリオソーム/マトリックスの機能を、カルシウムイメージング・化学遺伝学などの最新技術を用い、霊長類において明らかにすることを目的としています。不安・葛藤状況下でのストリオソーム/マトリックス構造の機能を明らかにすることで、最終的に医学への貢献を目指します。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、霊長類ストリオソーム/マトリックスの細胞群の、不安や罰への応答を明らかにし、回路操作によりその相互作用を明らかにすることを目的とする。霊長類ストリオソーム/マトリックスは線条体内で相互に入り組んでおり、生理学的な同定が難しい。このことから、所属する研究室ではストリオソームの細胞に特異的に発現するウイルスを開発するプロジェクトが立ち上がった。研究員はこのウイルス作成に必須である遺伝情報を獲得するために、特に不安に関わることが示唆されるサルの脳部位で、single nucleus RNA-sequencing(snRNA-seq)を行っている。RNA解析のためのサンプリング手順を開発し、現在までに13頭のカニクイサルで脳サンプリングを行った。うち2頭のサンプルを共同研究者がsnRNA-seq解析を行っている。また、げっ歯類のストリオソームにはミューオピオイド受容体が特異的に発現することが知られているが、サルでは分布の対応がわかっていない。よって、ミューオピオイド受容体の発現パターンを2頭のサルの脳切片で組織学的に調べた。その結果、線条体の後方部ではストリオソームと比較的一致して発現することを見つけた。このことから、ミューオピオイド受容体を持つ細胞に特異的に発現するウィルスをサルに注入し、ストリオソームの機能を明らかにするアプローチも行っている。 さらに、不安障害やうつ病に関係する脳皮質領域である、背外側前頭前皮質、前帯状皮質膝下部、前帯状皮質膝前部、線条体、の四領域の電場電位をグレンジャー因果解析によって解析した。悲観的な意思決定時に、背外側前頭前皮質から他領野へのトップダウンの影響が弱まることを明らかにした。研究成果は、Nature Communications誌に受理され掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、snRNA-seq解析の脳切片作りのプロトコルを確立し、それに基づき、2頭のカニクイサルからRNA解析用の脳サンプルを採取し、現在解析中である。また、2頭のマカクザルへ行動課題である葛藤意思決定課題の訓練を完了した。 さらに、これまでデータ解析を行っていた悲観的な意思決定時の辺縁皮質-線条体にわたる神経ネットワークの情報表現やその相互作用に関する結果を論文にまとめ、国際・国内会議での口頭・ポスター発表を行った。さらにその研究論文がNature communications誌(インパクトファクター16.6)に受理された。現在、マカクザルの線条体へミューオピオイド受容体特異的ウイルスを注入するためのプロトコルの作成や器具の設計を行い、ウイルスによる細胞イメージングの準備を行っている。以上のことから、研究の進行・出版ともに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ミューオピオイド受容体に特異的なウイルスをまず一頭のサルへ注入し、そのストリオソームでの分布を組織学的に調べ、ウイルスのストリオソーム特異性検討する。さらに、同じサルで、カルシウムインディケーターを加えたミューオピオイド受容体特異的なウイルスを注入し、そのカルシウム活動をファイバーフォトメトリーで観察し、線条体での細胞の挙動を明らかにする。その後、葛藤課題を訓練済のサルに同じウイルスを注入し、ファイバーフォトメトリーにより、課題遂行時のストリオソーム細胞の機能的な役割を明らかにする。
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Report
(3 results)
Research Products
(12 results)