Project/Area Number |
22KJ1771
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Project/Area Number (Other) |
22J00272 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河上 龍郎 京都大学, 理学研究科, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 消滅定理 / Frobeniusの持ち上げ可能性 / 正標数 / 微分形式の拡張定理 / 準フロベニウス分裂 / Bott消滅定理 / 対数的持ち上げ可能性 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,正標数の代数多様体の構造を微分形式の観点から調べる.特に,Frobenius射を使って定義される特異点である「F特異点」や,極小モデルプログラムで登場する特異点に対して,微分形式の拡張可能性を明らかにすることが主な目的である.そのために,F特異点やその拡張概念である「準F特異点」の研究も並行して行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,以下の3つの研究を行った. 1, 高松氏との共同研究において,2次元の場合を中心にFrobeniusの長さ2のWitt環への持ち上げ可能性を詳しく調べた. 昨年度の研究により,本研究の目標である微分形式の拡張可能性は,Frobeniusの持ち上げ可能性と関連が深いことがわかっている.この研究では2次元の特異点のFrobeniusの持ち上げ可能性を調べることで,Grafによる拡張定理を一般化し,その応用として,大域的F分裂な射影曲面におけるBogomolov-Sommese消滅定理を示した. 2, Steenbrink型消滅定理について研究し,2次元の場合に満足のいく結果が得られた.Steenbrink型消滅定理も微分形式の拡張可能性と深い関わりがあり,特に孤立特異点の場合は拡張可能性よりも強い主張である.この系として,Grafによる拡張定理が得られるが,この研究では極小モデル理論でなく,微分形式間の引き戻し写像の分裂性に着目しており,拡張定理の証明としても新しい. 3, Baudin氏とBernasconi氏と共に,Grauert-Riemenschneider消滅定理の自然な正標数アナログが成立しないことを明らかにした.Grauert-Riemenschneider消滅定理は,Steenbrink消滅定理の特殊な場合であるが,高次元では正標数で自然な定式化をしてもなお成立しないことがわかった.証明のためF_p有理という新しい概念を導入した.また,このF_p有理という概念を,対数的Fano多様体のF_pコホモロジーの消滅など,大域的な面にも応用した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究により,微分形式の拡張可能性はFrobeniusの持ち上げ可能性と関連があることが明らかになったが,このFrobenius持ち上げ可能性について,2次元を中心に詳しく調べることができた. また,拡張可能性と関わりの深いSteenbrink消滅定理に関しても2次元の場合に満足のいく結果が得られた. 最後に,Steenbrink消滅定理の特殊な場合であるGrauert-Riemenschneider消滅定理に対して,高次元ではその自然な正標数アナログすら成立しないことを明らかにした.そのため,消滅定理を正標数で自然な形に主張を弱めてもなお,高次元では標数やF特異点に関連する仮定など,何らかの条件が必要になることがわかった. 本研究の目標である拡張可能性と関わりの深い成果を得ることができ,その系として拡張可能性に関する新しい結果も得られたため,順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度の研究について,まず今年度研究したSteenbrink消滅定理やFrobeniusの持ち上げ可能性に関する成果を高次元化することを第一の目標としたい.これは本研究の目標である拡張可能性に関する研究に直結する. またそれと並行し,昨年度に研究した準F分裂に関する研究も進めるつもりである.
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