Project/Area Number |
22KJ1778
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Project/Area Number (Other) |
22J00811 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 優紀 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 離乳期 / 腸内細菌 / ビフィズス菌 / 酵素 / 食餌成分 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、離乳期に摂取する食餌成分の分解を担う腸内細菌由来酵素を解析することによって、離乳期に見られる菌叢変化の分子機序を明らかにすることを目的とした。 まず、既存の糞便メタゲノムデータを用いた統計学的な解析に着手し、乳児期と比べて離乳期において相対存在量が増加した酵素遺伝子を見出した。その中で、細菌由来の酵素で機能が報告されていない特定の酵素に着目し、さらなる機能解析を進めたところ、離乳食に含まれる野菜類の成分に作用したため、離乳食に応答して特定の酵素遺伝子が増加した可能性が示唆された。引き続き、基質の構造解析を含め酵素の詳細な機能解析を実施していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの離乳期に形成される腸内細菌叢は、成長後の生活習慣病や免疫疾患の発症に関わっていることが明らかにされており、離乳期の菌叢形成の理解と介入のためには細菌の増殖や定着の分子機序を解明する必要がある。本研究では、離乳期に摂取する食餌成分の分解を担う細菌由来酵素を解析することによって、離乳期に見られる菌叢変化の分子機序を明らかにすることを目的とした。 本年度はまず、別プロジェクトにて既に解析済みの乳児糞便ショットガンメタゲノムデータを活用することで、離乳期に応答する腸内細菌由来酵素の探索を試みた。その結果、乳児期と比べて離乳期において相対存在量が増加した酵素遺伝子を見出すことに成功した。本研究では、その中でも細菌由来の酵素で機能が報告されていない特定の酵素に着目し、さらなる機能解析を進めた。本酵素遺伝子を保有する腸内細菌種の保存性を解析したところ、ビフィズス菌やラクチカゼイバチルス属細菌、ルミノコッカス属細菌が主に保有していることが明らかになったため、それらの細菌由来の酵素の組換え体の調製を行い、基質探索および酵素の機能解析を実施した。その結果、当該酵素は、人工基質に対しては作用せず、離乳食として一般的に用いられる野菜類の成分に作用し、離乳食に応答して特定の酵素遺伝子が増加した可能性が示唆された。引き続き、基質の構造解析を含め酵素の詳細な機能解析を実施する必要があるものの、本年度の研究によって、離乳期に関連した特定の酵素遺伝子のこれまで未知であった機能を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験手法を一部変更(自らサンプリングにより回収した糞便の解析ではなく、既に解析された離乳期乳児糞便のショットガンメタゲノムデータを用いた解析に変更)して、離乳期に応答する酵素遺伝子の探索の効率化を図った。実験手法に変更があったものの、目的であった離乳期に増加する酵素遺伝子を見出し、腸内細菌由来の本酵素の機能解析を実施することができた。さらに、本酵素が離乳食で一般的に用いられる野菜由来の成分に作用する新たな反応性を有する酵素であることを明らかにすることができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で離乳期と関連が見られた機能未知酵素の解析を引き続き行う予定である。具体的には、前年度でビフィズス菌およびラクチカゼイバチルス属細菌の酵素の組み換え体を調製し、基質特異性が明らかになってきたものの、基質の詳細な構造解析やそれら菌体を用いた増殖試験等は未実施であるため、それらの解析を進めていく。加えて、まだ解析に着手していないルミノコッカス属細菌由来の酵素の調製と性質決定も行い、離乳期に関連が見られた本酵素の腸内細菌における役割を広範に解明する。その後、実際に離乳前後の乳児糞便のサンプリングを自ら行い、目的の酵素遺伝子の変動の解析や糞便培養を行うことで他の腸内細菌の関わりの中での本酵素の役割を明らかにしていく予定である。
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