行動伝染は情動伝染を促進するか:ニホンザルにおける共感性の基礎的機構の実験的検討
Project/Area Number |
22KJ1783
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Project/Area Number (Other) |
22J01463 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 90030:Cognitive science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
壹岐 朔巳 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 判断バイアス課題 / 情動 / 認知 / 天敵関連刺激 / ニホンザル / セルフ・スクラッチ行動 / 行動伝染 / 情動伝染 / 比較認知科学 / 認知バイアス課題 |
Outline of Research at the Start |
ヒトにおいて、共感性は円滑な社会生活を支える重要な心的機能である。本研究は、共感性の基盤として注目されている行動伝染と情動伝染という現象間の関係性を非ヒト動物で検証することで、共感性の進化的起源を探ることを目的とする。 無意識に他個体の行動をコピーする行動伝染と他個体の情動が転移する情動伝染との関係は、外的に表出される身体反応の同調と、内的な心的状態の共有との間の因果関係を解明する上で極めて重要な認知科学的トピックである。本研究では、ニホンザルを対象に、各種の認知課題を用いて、「行動伝染に伴う身体状態の変化が原因となって、他者と同じ情動が喚起される」という末梢フィードバック仮説を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
京都大学ヒト行動進化研究センターで飼育されているニホンザルを対象に、タッチパネルを用いたGo/Nogo型判断バイアス課題実験をおこなった。第1の実験では、天敵に関連する刺激(ヘビの写真)がニホンザル個体に引き起こすネガティヴ情動を定量的に測定することに成功した。本研究の結果に基づいて1編の原著論文を執筆し、発表した(Iki & Adachi 2023 iScience)。第2の実験は、行動伝染と情動伝染との関係を検証することを目的としていた。実験では同種他個体のセルフ・スクラッチ行動の映像刺激を被験個体に呈示した。先行研究ではセルフ・スクラッチ行動はネガティヴ情動と関連し、かつ、個体から個体へ伝染することが報告されている。本実験では、映像刺激を呈示中の被験個体の様子をビデオ記録することで行動伝染が起きていたか検証し、映像の呈示後に判断バイアス課題をおこなうことでネガティヴ情動の伝染が起きていたかも検討した。 実験のコントロール刺激には、休息中の他個体の映像、および、風景の映像を使用した。6個体を対象とした実験の結果、予想に反して、他個体によるセルフ・スクラッチの映像を呈示する条件では、休息中の他個体の映像を呈示する条件や風景の映像を呈示する条件よりも、被験個体のセルフ・スクラッチ行動が減少することが示された。一方で、判断バイアス課題の直前に自身の身体を掻いていた個体は悲観的な判断バイアスを示していたことから、先行研究と同様にセルフ・スクラッチ行動がネガティヴな情動と関連することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度から取り組んできた、捕食者関連刺激が飼育霊長類個体に喚起する情動反応を判断バイアス課題を用いて非侵襲的に測定する実験課題を今年度の初めに完了させた。実験の完了後にデータ解析と論文執筆を進め、成果を査読付論文として発表した。続いておこなった社会的な映像刺激が飼育霊長類個体に引き起こす行動反応・情動反応を測定する実験も、実験装置の作成、刺激の準備、実験の遂行を年度内に完了させた。
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Strategy for Future Research Activity |
第2の実験で得られたデータは、当初の予測に反するものであるため解釈が難しいが、今後さらに検討を進め、次年度中には査読付英語論文として発表する。われわれの今回の実験のデータは他個体のセルフ・スクラッチ行動の映像はニホンザルに行動伝染を引き起こさないことを示唆しているが、ヒトを対象とした先行研究ではスクラッチの音声刺激がスクラッチ・痒みの伝染を引き起こすことが示されている。目下、スクラッチの音声がニホンザルの被験個体に引き起こす行動・認知的な反応を検証する実験を計画している。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)