Project/Area Number |
22KJ1789
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Project/Area Number (Other) |
22J01679 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 右郷 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 科学哲学 / 疫学の哲学 / 社会認識論 / 研究倫理 / 科学政策 / がん研究 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、1970年代の米国で始まった「がん戦争」をめぐる論争を題材に、科学史・政策史的な観点からの記述的研究を行いつつ、認識論的観点からがん疫学の科学的合理性を分析する研究である。この研究では社会認識論と呼ばれるアプローチを採用し、当時のがん疫学を他の研究方法や社会状況と関連づけて検討することで、がんに関する医学全体の中でがん疫学の果たした役割や位置付けを明らかにすることを目指している。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は前年度に引き続き、科学政策論と疫学の哲学を中心に、その周辺領域を含めて研究を進めた。一つ目の成果として、科学政策論における科学哲学の役割について、近年注目を集めている無知学とも関連付けた論文を執筆した。二つ目の成果として、科学政策論における重要概念である「研究の自由」について、「リニアモデル」という概念に基づく独自の分析を行なった。このテーマは引き続き検討し、最終年度に国際学会でのポスター発表を計画している。三つ目の成果として、疫学方法論の歴史的発展を要約しながら、がん研究にとっても重要だった症例対照研究に焦点を当てた科学哲学的検討を行い、学会発表を行なった。このテーマは引き続き検討しており、5月に開催されるThe 11th International Philosophy of Medicine Roundtableでの口頭発表が受理されている。四つ目の成果として、がんリスク評価に関する科学哲学の研究を進め、論文を執筆した(受理済み未掲載)。五つ目の成果として、疫学と社会との接点について倫理学的考察を進め、口頭発表を行なった。 上記の他に、当該年度はがん研究の科学哲学のオンライン読書会を同世代の科学哲学者と共に企画・運営した。これについて、課題図書には2021年にラカトシュ賞を受賞したExplaining Cancer: Finding Order in Disorderを選び、関連学会を通じて広く参加者を募った。同書の読書会を通じて、がん研究に関心を持つ様々な研究者との交流を深めつつ、本研究への有益な示唆を得ることができた。また、日本疫学会への全日程参加などを通じて、現在の疫学研究の動向についても学んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は1970年代の米国で始まった「がん戦争」をめぐる論争を主な検討対象とする計画を立てていたが、研究を進める中で科学政策論における「研究の自由」が重要な問題であることを見出し、その検討を新たに開始したため、全体として当初の計画よりも遅れることとなった。しかし、それにより本研究はよりオリジナリティの高い分析が可能になったと考えている。 遅れている作業として、当初予定では一年目に疫学の哲学のサーベイ論文の投稿を計画していたが、二年目に関連する内容の口頭発表を行うことができたものの、論文投稿にはまだ至っていない。 また、当初予定では二年目に国際学会での発表を計画していたところ、二年目のうちには叶わなかったが、最終年度の5月に一件の口頭発表(受理済み)と、秋頃にもう一件のポスター発表を準備しているため、最終年度には当初の目標をある程度達成できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を広げた形で研究を進めたことで、論文投稿が遅れているため、最終年度は論文執筆に集中し成果公表に努める。具体的には、第一に当初予定していた疫学の哲学のサーベイ論文の執筆、第二に「研究の自由」を分析した論文の執筆、第三に国際学会での報告内容を英語論文として投稿することを目指す。 また、二年目から開始したがん研究の科学哲学の読書会は最終年度も継続し、がん研究に関心を持つ多様な研究者と交流しながら引き続き研究を進める。また、疫学者との交流の機会も積極的に持つように努める。
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