Project/Area Number |
22KJ1791
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Project/Area Number (Other) |
22J01754 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 大貴 京都大学, 複合原子力科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / 抗腫瘍効果 / DNA-DSB / DNA損傷 / γH2AX / オートラジオグラフィー / ホウ素分布 / ホウ素中性子捕捉反応 / 中性子捕捉療法 / BNCT / ホウ素 / 大環状ポリアミン / DNA / がん / 放射線治療 / 中性子線 |
Outline of Research at the Start |
中性子捕捉療法(Neutron Capture Therapy, NCT)は、安定同位体であるホウ素(10B)やガドリニウム(157Gd)を含む薬剤と熱中性子線の核反応で発生した重粒子線やオージエ電子を利用した放射線治療法である。NCTでは核反応生成物のエネルギー付与により細胞死を誘導するため、細胞の生存に重要な生体分子に致死的な損傷を効率的に与えることで、少ない投与量で高い抗腫瘍効果が期待できる。そこで本研究の目的は、DNAを標的とする新規NCT薬剤を設計・合成し、その有効性を中性子線照射実験により明らかにすることである。
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Outline of Annual Research Achievements |
中性子捕捉療法(Neutron Capture Therapy, NCT)は、安定同位体であるホウ素(10B)やガドリニウム(157Gd)を含む薬剤と中性子の核反応で発生した重粒子線やオージエ電子を利用した放射線治療法である。これら核反応生成物の飛程距離は細胞1個分の範囲に収まるため、化合物の分布に依存した細胞選択的な治療が可能である。また、このエネルギー付与による細胞死誘導において、細胞の生存に重要な生体分子に対して致死的な損傷を効率的に与えることで高い抗腫瘍効果が期待できる。 生体分子の一種であるポリアミンは核酸と相互作用することや、がん細胞において輸送活性の亢進が見られることが報告されている。そこで本研究では、効率的なDNA損傷を指向した新規ホウ素化合物として大環状ポリアミン誘導体を設計・合成し、培養細胞やモデル動物を用いた生物学的評価によりその有効性を検討した。具体的には、大環状ポリアミン単量体の健康なマウスに対する毒性や、担癌マウスを用いた体内動態評価、原子炉中性子線照射による抗腫瘍効果を評価した。また、固体飛跡検出器であるバリオトラック(CR-39)を用いたオートラジオグラフィーにより、細胞内ホウ素分布の可視化を検討した。さらに、DNA二本鎖切断(DNA-DSB)の分子マーカーであるγH2AXフォーカス数を指標に、大環状ポリアミン誘導体のBNCTによるDNA損傷の影響を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大環状ポリアミン誘導体の担癌マウスに対する抗腫瘍効果に関して、細胞内分布などのメカニズム解析に着手した。CR-39を用いたオートラジオグラフィーにより、細胞内で起きたホウ素中性子捕捉反応の場所を解析した結果、ホウ素原子が細胞質だけでなく細胞核にも分布することが示唆された。また、BNCTによるDNA損傷を評価し、大環状ポリアミン誘導体が細胞核に移行して中性子線照射によりDNA-DSBを与えることが示唆された。以上の結果から、おおむね予定通りに進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の結果から、大環状ポリアミン誘導体がヒト肺がん細胞を移植した腫瘍モデルマウスに対して、BNCTにより抗腫瘍効果を示すことが分かった。また、DNAと相互作用する大環状ポリアミン誘導体が細胞核へ移行し、中性子線照射によりDNA-DSBを与えることが示唆された。従って、中性子照射実験で有効性を示した化合物をリード化合物として、より安全で有効なNCT薬剤の開発に向けて、新規化合物の設計・合成に着手する。また、肺がん以外の培養細胞に対する活性評価や、モデル動物を用いた有効性の評価を実施する予定である。
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