Project/Area Number |
22KJ1793
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Project/Area Number (Other) |
22J10025 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小田 麟太郎 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ジャン=リュック・ナンシー / キリスト教の脱構築 / ニヒリズム / 共同体 / 脱構築 |
Outline of Research at the Start |
1980年代以降の現代フランスの哲学者ジャン=リュック・ナンシーの議論を一貫して解釈する。取り分け、ドイツの哲学者マルティン・ハイデガーの議論を「作り直す」という彼の意図に着目することで、哲学史におけるナンシーの議論の特異性を明確化する。具体的には、身体論と呼びうる「物」に関する議論に着目し、そうした議論がハイデガーを中心とする他の哲学者の議論をどのように批判的に乗り越え得るものであるのかを検討する。また、ナンシーの議論を1980年代から90年代にかけてと2000年以降の二つの時期に区別し、「物」を巡る議論がどのように変遷して行ったのか、そしてそこにはどのような一貫性があるのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に2000年代以降のナンシーの議論において中心的なものとなる「キリスト教の脱構築」というプロジェクトに関連する議論を検討した。具体的には、1980年代から2000年代以降に至るまで共通する、語り得ない「物」というモチーフに着目し、ナンシーの議論の連続性を明らかにした。また、2000年代以降の議論において「存在する」、「物」が「存在しない」とも言われているという点に着目し、「実存」という語のナンシー独自の用法を、「存在し」、かつ「存在しない」こととして明らかにした。また、2000年代以降の議論において「物」が「存在しない」という点に力点が置かれているということにニヒリズムという問題が現れているという点を指摘し、類似した議論を行なった日本の哲学者西谷啓治の議論を手掛かりにしつつ、ナンシーによるニヒリズム脱却の特徴を「物」が語り得ないということを敢えて語ることというかたちで解釈した。以上までの研究成果は、国際学会La phenomenologie et “l'oubli du Japon”. Role et signification du “Japon” dans la phenomenologie au XXIe siecleにて発表した。また、ナンシーの主著『無為の共同体』を読解するイベントに登壇、「無為の共同体」、「「文学的共産主義」」の二論文に関する解釈を発表した。また、研究期間全体を通じた成果として、ナンシーの議論をハイデガーの思考を「作り直す」という観点から検討し、博士論文を準備した。本年度の後半はフランスのストラスブール大学にて滞在研究を行った。
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