Project/Area Number |
22KJ1797
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Project/Area Number (Other) |
22J10413 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桑原 啓 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ひきこもり / ひきこもり傾向 / 自立 / 自己開示 / 不登校 / 相互行為 / 移住 / 労働 / 概念分析 / 社会的孤立 / 社会的排除 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、自立という言葉に代表される規範的な価値観が顕著に表れたひきこもり現象について、ひきこもり経験者や福祉的支援を行っている人々、あるいはそうした人々とかかわりのある地域住人の認識や相互的な関係を検討することを通じて、実証的に自立やそれと関連する規範のあり様を考察することである。具体的には、支援施設およびその関連機関でのフィールドワークを通じ、ひきこもり経験者や支援者がいかにして日々の生活を送っているのか、あるいはどのような実践がそこで行われているのかにかんする記述を行いつつ、必要に応じてインタビューを実施することで、そうした人々の主観への接近を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はひきこもり経験者や生活困窮者が生活している非営利法人傘下のシェアハウスを中心にフィールドワークを行い、そこでの生活の様子を記述してきた。また、インタビューを通じて、そうした人々の意味世界への接近を試みてきた。その結果、特にひきこもり経験者にとって、地元・親元での生活は、ひきこもりや不登校経験ないし、それに付随した排除的な経験(例えば、どうして働けないのかといった叱責)を常に意識せざるを得ないものとなっていた一方、地元・親元を離れた地域での生活は、そうした精神的な負担を少なからず軽減したものとなっていた。特に、不登校経験と関連して、ひきこもり経験者は地元で生活していると同級生のまなざしを意識せざるを得ず、自身の不登校経験を知られていることへの苦痛を語っていたのに対し、移住後の地域では、地域住人に対して不登校経験を自己開示するなど、深刻なスティグマ化は見られなかった。これについては、リアルタイムに不登校経験を確認されたという感覚と、過去の出来事として不登校経験を知られるという感覚との間には、重大な差異があると言えた。そして、これをもって、リアルタイムの相互行為の水準で負の経験を把握すべきだということを見出し、ひきこもり経験者には地元・親元を離れることをめぐって、一定の潜在的ニーズがあることを発見した。 また、これまでの研究期間全体を通じた研究成果については、最終的に2つの施設でフィールドワークを行ったが、いずれの施設においても、労働や仕事という要素が実践に取り入れられていた。そして、両施設の実践は、労働や仕事といった状況の定義からの「ずらし」を行い、居場所や地域の困りごとの解決といった別の要素を付与するようなものとなっていたことを見出した。
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