Project/Area Number |
22KJ1820
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Project/Area Number (Other) |
22J12554 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 高大 (2023) 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Research Fellow |
杉山 高大 (2022) 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 保護色 / 体表寄生者 / 環形動物 / ウロコムシ科 / ナマコ綱 |
Outline of Research at the Start |
他の生物に寄生しその体表上で生活を営む体表寄生者にとって、保護色は捕食者から身を守るための手段の一つである。宿主の体表とよく似た体色や模様は、体表寄生者を捕食者から見つかりにくくする役割を果たす。しかしながら、体表寄生者がどのようにして宿主の体色と一致した保護色を獲得するのかについて、詳しいメカニズムを解明した例は限られている。そこで、ナマコ類に体表寄生する環形動物ナマコウロコムシを対象として、本種が宿主から色素を直接取り込んで自身の保護色に利用しているかどうかを検証する。さらに、宿主の体色に応じた保護色が、ウロコムシ科においてどの程度一般的に見られる現象なのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
ナマコ類の体表に寄生するナマコウロコムシは、宿主の体色と類似した体色を示す。本種の体色は保護色としての役割を果たすが、飼育観察、色素の分析、野外調査など複数の手法を用いてその獲得過程の解明に取り組んだ。 まずは昨年度中に、本種の体色が後天的に獲得されるかどうかを確かめるために飼育実験や野外調査を実施した。その結果、本種における保護色獲得の具体的な過程に関する知見を得ることができた。さらに、本種とその宿主のそれぞれが有する色素を詳細に分析するために、新たな色素の抽出・分析手法の検討を行った。 本年度はまず初めに、昨年度に引き続き色素の分析に取り組んだ。分析手法の変更により、課題開始以前よりも微量の脂溶性色素を検出できた。一方で、抽出方法の変更に起因すると予想される、これまでの分析結果との部分的な相違が見られた。今後分析を実施する上での技術的な知見を得ることができた。次に、本種の体色や宿主の違いに応じて発現する遺伝子の差異の有無を今後検証するために、次世代シーケンス技術を利用したトランスクリプトーム解析に関するデータを取得した。上記の内容は、今後も技術的な検討を行う予定である。さらに、野外観察や飼育観察を通じて本種の宿主の幅やその利用実態とりわけ選好性に関する新たな知見を得た。本内容は2023年度中に国内外の学会等で発表済みであり、これまでに蓄積した生態データと併せて論文を執筆中である。 保護色は海洋に生息する複数の動物門で普遍的に見られるが、その獲得の仕組みについて詳細に解明した例は一部の分類群に限定される。本研究の結果は、保護色に関する知見に乏しい動物とりわけ環形動物の保護色獲得メカニズムの理解に大きく資するだろう。
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