Project/Area Number |
22KJ1827
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Project/Area Number (Other) |
22J13130 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻川 吉明 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ベルの不等式 / 量子力学 / フレーバー相関 / LHC-ATLAS実験 / ミューオントリガー / Bフレーバー観測 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ATLAS実験で二つのB中間子が生成する事象の観測を行い、内部(フレーバー)空問の量子相関を求めることでベルの不等式の検証を目指す。 二つのB中間子が生成される事象を効率よく測定できる事象選別手法(トリガー)の開発・システムへの実装を行い、LHC第三期運転でのデータ取得に用いることで、世界最高エネルギーでのベルの不等式の検証を行う。これにより、ベルの不等式を満たさない結果が得られた場合、量子力学からの予測とどれだけ一致しているかについて分析する。ベルの不等式を満たす場合は、フレーバーの相関の指標に対する本研究による上限値をつける。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究で新たに考案したベルの不等式の検証実験で重要となるのは測定効率であり、LHC-ATLAS実験ではこれまで測定できなかった低い横運動量領域まで、ミューオン、D*粒子の測定効率を改良する新規開発が必要となる。昨年度まででミューオンの測定効率を制限しているハードウェアトリガーの改良に成功し、取得した実データで新トリガーの効率を詳細に測定することに成功し、効率上昇を実証できた。しかし、2023年7月にLHC加速器の通常運転において真空漏れが起こり、その修理のため運転計画が遅れたため、本年度中には本研究が目指していた低パイルアップ特別運転が行われなくなった。そのため急遽、第2期運転での低パイルアップ特別運転、さらに、低エネルギー特別運転も加えたデータの解析を開始した。LHC-ATLAS実験でこれらの特殊な第2期運転データからD*粒子とミューオンからB中間子の再構成を行ったのは初めてであった。データの理解を着実に進め、B中間子対生成の候補事象を高い純度で選別することに成功した。また、B中間子対生成の候補事象の崩壊時間分布から背景事象による影響を補正してベルの不等式の検証に用いる非対称度をもとめる一連の方法を確立した。さらに、最大乖離点だけでなく非対称度の分布自体にフィットすることで最終的なベル不等式検証の感度を大きく上げる方法も確立した。 以上のように、LHC加速器運転の遅れという想定外のことがあったが、代わりに第2期データを使用して、B中間子対生成事象の再構成手法の確立、崩壊時間分布を用いたベル不等式検証の感度を上げた解析手法の確立など、当初の計画に沿った成果を上げることができた。研究結果について2年を通じて、日本物理学会2件、国際学会2件にて、講演を行った。
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