Project/Area Number |
22KJ1863
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Project/Area Number (Other) |
22J14798 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森脇 透青 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 表現 / 秘密 / 文学 / 脱構築 / ジャック・デリダ / 哲学 / 美学 / 翻訳 / 国民国家 / 差延 |
Outline of Research at the Start |
前年度まではデリダの「表現」概念の統一的解釈という目的のもと、前期・中期デリダに関する研究を行い、発表を重ねてきた。この中で、「表現」(60-70)、「翻訳」(70-80)、「記憶」(80-90)、「証言と秘密」(90-)という四つのテーマの極を設けてデリダの議論の推移を検討し、その一貫性と変動を確認するという見通しがついた。今年度は主に「翻訳」から「記憶」への推移と「証言と秘密」について検討し、論文を発表する。具体的には、『Fors』(1976)、『メモワール』(1988)、『死を与える』(1992)、『パッション』(1993)などが検討対象のテクストである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ジャック・デリダのテクストにおける「表現」概念の検討を通じてデリダ思想を包括的に解釈するという企図のもとで進められた。この研究の目的はおおむね果たされたと言える。これまでの活動で報告者は、おもに現象学、ドイツ観念論、美学における「表現 expression, Ausdruck」の概念を中心として、それに対するデリダの批判を検討してきた。また同時に、具体的に表現実践にかかわっている現場と協働する機会を多く設け、ひとがなにかを表現するという事態を研究的かつ批評的な視野から見通すことができた。 とりわけ二年次では、八〇年代のデリダのシェリング論を検討することで、前期のフッサール論およびヘーゲル論から連なる「表現」批判の一貫性を確認しつつ、その制度論的な広がり(言語教育、大学教育、国家と言語の問題等)を検討できたことが大きな収穫であった。 しかし、同時に、中期以降のデリダのテクストにおいては「表現」という語彙が(事柄としては同じく問われていても)ほとんど登場しなくなることから、テクストを実証的なレベルで読み進めることが難しい、という問題にも直面した。そこで、むしろ「表現」からフレームを拡張し、この問題系を「翻訳」や「秘密と証言」といった別の問題への変奏としてみなすことで、より研究を深化させることが可能であるという結論にいたった。この点が、本研究の次なる課題である。
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