Project/Area Number |
22KJ1867
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Project/Area Number (Other) |
22J14850 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 39060:Conservation of biological resources-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内藤 アンネグレート素 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 絶滅危惧種 / 遺伝的多様性 / 生息域外保全 / 猛禽類 |
Outline of Research at the Start |
日本に生息する大型猛禽類イヌワシとクマタカはいずれも絶滅の危機に瀕しており、繁殖に成功するつがいの割合も低い。繁殖が成功しない限り、個体群の持続可能性はさらに損なわれる。そこで本研究では「つがいの相性」に影響を与えると考えられている主要組織適合複合体(MHC)遺伝子を調べ、両種の繁殖成績の向上を目指す。繁殖成績を左右する要因を特定することにより、飼育下における「相性の良い」個体の組み合わせを提案が可能となる。また、野生つがいの繁殖成績の推定も行い、将来的に飼育個体を野生復帰させる際にどのような遺伝子型を持つ個体をどのような地域に放鳥するか、などの具体的な保全方策への応用も期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には、免疫・繁殖との関係が報告されている主要組織適合性複合体(MHC)遺伝子と飼育下のイヌワシの繁殖成績との関連解析結果を博士論文にまとめた。野生下のイヌワシとクマタカにおけるMHC遺伝子領域の多様性の解析も終わらせ、両種で多様性の程度が似ていることがわかった。これについても結果を博士論文にて論じた。クマタカについては、MHC以外に、ミトコンドリアDNAの解析も実施した。ミトコンドリアDNAの解析からは、多様性が高く、進化史において集団サイズが拡張したことが示され、遺伝的交流が飛び石状に起きている可能性も示唆された。しかし、ミトコンドリアDNAは情報量が比較的少ないため、全ゲノム情報を用いて遺伝的多様性、遺伝的交流および過去の集団サイズの変遷の解析にも着手した。 本研究の成果はイヌワシを飼育している動物園と野外でイヌワシとクマタカを研究している共同研究者と共有し、生息域外における繁殖計画と生息域内保全への応用について議論も進めた。本研究のイヌワシの結果については、日本生態学会第71会大会におけるシンポジウム「種の保存法に基づく保護増殖事業対象種の保全ゲノミクス」で口頭発表をおこなった。 また、博士論文に向けて以前から猛禽類の遺伝学的研究の状況について文献調査をおこなっていたため、その結果も報告としてまとめた。アジアでは他の国々と同様に猛禽類を対象とした遺伝学的研究が増えているが、全ゲノム情報をはじめとする核DNAを用いた研究が未だ少ないことがわかった。この結果は、キルギス科学アカデミー主催の学会とその抄録にて発表した。
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