Project/Area Number |
22KJ1961
|
Project/Area Number (Other) |
22J21576 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 37030:Chemical biology-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内野 歩美 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ / オリゴマー / 3量体 / 細胞毒性 / 有機化学 |
Outline of Research at the Start |
アルツハイマー病 (AD) 患者脳の病理学的特徴である老人斑は,アミロイドβタンパク質 (Aβ) が高度に凝集した不溶性線維からなるが,Aβの毒性発現には低分子量の凝集体である可溶性オリゴマーが重要な役割を果たしている.本研究では3量体を最小基本単位とするAβオリゴマーモデルを設計・合成し,それらの神経細胞毒性や凝集性などの物理化学的性質を評価することにより,Aβオリゴマーの毒性と各種物理化学的性質との相関を明らかにする.有望なモデルについては毒性Aβオリゴマーを選択的に捕捉する環状ペプチドのスクリーニングに利用する.
|
Outline of Annual Research Achievements |
アミロイドβタンパク質 (Aβ) のオリゴマーは、アルツハイマー病の発症の初期段階において重要な役割を果たしている。本研究代表者の所属研究グループにおけるこれまでの研究から、柔軟性の高いアルキル鎖を有する3価性リンカーアミノ酸でE22P-Aβ40の36位を架橋したプロペラ型(3回対称型)3量体モデルが、E22P-Aβ40単量体とほぼ同程度の細胞毒性(SH-SY5Y)を示すことが明らかになっている。E22P-Aβ40は野生型Aβ40の22位をプロリン残基で置換することにより毒性配座を形成しやすくした変異体である。また、所属研究グループにおけるE22P-Aβ40の2量体モデルを用いた研究により、リンカーの架橋長が短いモデルほど高い毒性を示すことが明らかになっている。そこで本年度は、これまでに合成したアルキル架橋プロペラ型3量体リンカー(アミノ酸のα炭素間の架橋長5炭素原子)より架橋長の短い新規3量体リンカー(同3炭素原子)の合成を計画した。 過去の予備的検討から、官能基同士の距離が近い短鎖リンカーの合成においては、側鎖間での縮環などの望まない反応が進行しやすいことが明らかになっていた。従って、Overman転位を鍵反応とし、その後の二重結合の開裂により短鎖リンカーを合成する経路を立案した。本経路に従い、市販の3-シクロペンテン-1-カルボン酸から既知の4工程を含む19工程で目的のリンカーの合成を達成した。Overman転位を利用することにより、転位前までの化合物は最終目的物に比べて官能基同士の距離が遠くなり、側鎖間での望まない反応を避けて所望の反応を進行させることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の計画通り、3分子のAβが3回対称型に配置したプロペラ型3量体を合成するための3価性短鎖リンカーアミノ酸の合成を実施した。架橋長5炭素原子の長鎖リンカーアミノ酸の合成ではHorner-Wadsworth-Emmons反応と続く不斉水素化反応を鍵反応としてアミノ酸部位を導入したが、過去の予備的検討から、この合成経路を短鎖リンカーに適用すると、側鎖間での縮環など望まない反応の進行が合成の妨げになることが判明していた。この問題を避けるため、Overman転位を鍵反応とする合成経路を新たに立案した。この経路に従い、市販の3-シクロペンテン-1-カルボン酸から19工程で目的のリンカーの合成を達成した。Overman転位の立体選択性には改善の余地があるが、本経路を基盤として中間体の構造を一部改変することで、より立体選択性の高い経路を実現できれば、Aβの3量体リンカーとして高い光学純度を有するリンカーを十分量供給できる可能性が高い。従って、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度合成した架橋長3炭素原子の3価性短鎖リンカーアミノ酸を用いて、36位で架橋した新規Aβ 3量体モデルを合成・構造機能解析することにより、このプロペラ型3量体モデルの構造最適化を目指す。具体的にはまず、この短鎖リンカーの合成経路の立体選択性を改善する。十分な光学純度のリンカーが大量合成できれば、これを用いて36位で架橋した野生型およびE22P-Aβ40、更にはAβ42の3量体モデルを合成し、凝集能や細胞・シナプス毒性などの評価、CDスペクトルやTEMによる構造機能解析を実施する。これまでに合成した長鎖リンカーで架橋した各種3量体モデルの機能解析結果との比較から、プロペラ型3量体モデルの構造と毒性との関係について新たな知見が得られるものと期待される。
|