新規ポリマー空間の拡張に向けた人工Ribosomeの構築
Project/Area Number |
22KJ1977
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Project/Area Number (Other) |
22J22251 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 38030:Applied biochemistry-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小坂 唯心 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | リボソーム / 無細胞転写翻訳系 / 大腸菌 / 指向性進化 / 合成生物学 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、リボソーム全構成要素の転写・翻訳・アセンブリを単一反応系で共役させることで、大腸菌リボソーム生合成を試験管内で再構成可能な系(ワンポット再構成)を確立する。このワンポット再構成系は、出発物質であるリボソーム構成要素遺伝子に変異を導入するだけでリボソームを改変可能である。この利点を活用し、特殊な側鎖および骨格や、非ペプチド結合を含むポリマーを効率よく重合可能な人工リボソームを創成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
R5年度には、「リボソーム試験管内生合成の特性解析」を実施した。具体的には、①反応系に加えた鋳型DNAからリボソーム構成要素である全54種リボソーマルタンパク質が全て合成されていること、②出発物質であるリボソームRNA遺伝子やリボソームタンパク質遺伝子に変異を導入することで試験管内合成したリボソームに新たな表現型(抗生物質耐性)を付与できること、③試験管内合成されたリボソームがもつリボソームRNAおよびリボソームタンパク質の修飾パターンは、天然リボソームのものと類似していたことを明らかにした。これらの結果は、「リボソームの試験管内生合成」が実際に成功していることを高い確度で裏付けるものであり、研究目的の内「出発物質であるリボソーム構成要素遺伝子に変異を導入するだけでリボソームを改変可能な方法の構築」に成功しつつあることを示している。
さらに、研究の最終目的である「非天然モノマーを効率よく重合可能な人工リボソームの創製」に向けた戦略策定も行った。本目的に向けて、「大腸菌無細胞タンパク質合成系における非天然モノマー翻訳」および「リボソームRNAとリボソームタンパク質の試験管内での共進化」のためのアッセイ系を構築し、これらの要素技術を統合して優れた人工リボソームを選抜するための実験計画を策定した。この実験計画に従えば、例えばα-ヒドロキシ酸・Nメチルアミノ酸・D-アミノ酸などの非天然モノマーを自在に重合可能な人工リボソームを創製可能であり、膜透過性・生体内安定性が改善した新しい中分子医薬品の開発につながると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
人工リボソームの創製に向けた変異導入戦略を明確にできたため。研究実施計画では、人工リボソームの創製に向けてリボソーム構造活性相関に関する知見を蓄積することを目標としていた。計画策定時点から現在までに報告された新たな知見から、リボソーム内部で①新生ポリペプチド鎖のカルボニル炭素原子とアミノ酸側鎖がもつ求核基の窒素原子の間の距離が4Å以内にある、②求核基が近づく際の角度(Burgi-Dunitz角)の範囲が76~115°以内にあるという条件から逸脱すると結合形成の反応速度が非常に小さくなることが分かった。さらに、非天然モノマーが天然リボソームに取り込まれた際の結晶構造を解析し、非天然モノマーがもつ側鎖がリボソーム内の残基と衝突しているため結合形成反応を効率良く行えないコンフォメーションが安定化されているという知見も新たに報告された。
これらの知見から、非天然モノマーを取り込んだ場合でも、①②の条件を満たす構造をとれるようにリボソームに変異を導入すれば、非天然モノマーを効率よく重合可能な人工リボソームを創製できると仮説を立てた。この仮説を検証するため、リボソームの活性中心(23SリボソームRNAのA2447–A2450)・非天然モノマー取り込みで位置が変動することが知られる部位(23S リボソームRNAのA2058、A2059、A2062、A2082)・リボソーム活性中心と相互作用する残基をもつリボソームタンパク質L3(D144、R147、F148、N149、L150およびP151)・L16(R51およびR56)、L27(A2、G6、L7およびR11)などを対象にランダム変異導入を行い、その中から非天然モノマーを効率よく重合可能な人工リボソームを選抜する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
特殊な側鎖および骨格や、非ペプチド結合を含むポリマーを自在に重合可能な人工リボソームを創出する。そのために、多様な人工リボソームの中から優れた非天然モノマー取り込み効率を示すものをハイスループットに選抜可能な、「リボソーム指向性進化系」を構築する。
これまでの研究で、鋳型DNAを出発物質としてリボソームを試験管内合成する方法を確立してきた。これにより、出発物質であるリボソーム構成要素遺伝子に変異を導入するだけでリボソームを改変可能となった。しかし、変異を導入した人工リボソームのうち、優れた非天然モノマー重合効率を示すものはごくわずかだと想定される。そのため、多数の人工リボソーム群から、特殊アミノ酸や非アミノ酸を10残基以上連続的に重合させられるものや、非ペプチド結合を含むポリマーを合成可能なものを探索する
まず、ある非天然モノマーがリボソームで重合可能かどうか判定するためには、非天然モノマーに対応した空きコドンと非天然モノマーをtRNAにアミノアシル化する手段の両方が必要となる。そのため、第一の要素技術である「大腸菌破砕液を用いた無細胞転写翻訳系における非天然モノマー重合法」を構築する。次に、多数の人工リボソーム群から目的の機能を持ったものを反応液から選択的に回収し、すぐれた表現型をもたらした遺伝子型が何だったのか照合する方法が必要となる。そこで第二の要素技術である「リボソームRNAとリボソームタンパク質の試験管内での共進化」のためのアッセイ系を構築する。
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Report
(2 results)
Research Products
(21 results)