Project/Area Number |
22KJ2029
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Project/Area Number (Other) |
22J40136 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01080:Sociology of science, history of science and technology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 由佳 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2026: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 本草画 / 本草学史 / 博物学史 / 博物画 / 植物画 / 近世日本科学史 / 小野蘭山 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、「真写(真を写す)」、すなわち観察対象である自然物を正確に写し取るという、江戸時代の本草博物学に特有な学問思潮の成立と展開を、当時を代表する本草学者である小野蘭山の研究実践のうちに見出し解明しようとするものである。そのために蘭山の著作資料のなかから、特に絵図資料に焦点をあてて書誌学的検討を行う。その検討を通じて、蘭山が自ら挿図を描いた『花彙』の成立過程、および絵図豊富で日本での影響力が大きかった中国本草書『救荒本草』の蘭山における受容の実相を解明すると共に、 絵図資料に特化した小野蘭山著作資料の解題目録を作成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、1) 先行研究および関係図書・資料の収集と整理、2) 小野蘭山が描いた絵図資料の調査と分析、3) 真写をめぐる既存の本草・博物学史の再検討、を行った。 1) では、科学史はもちろん思想史・美術史・文学史等関連分野における研究を横断的に調査することにより、特定の学知における図像表現の成立と展開を論ずる上での理論的枠組みについて知見を深めた。 2) では、本研究の主題となる小野蘭山による絵図資料のうち、特に重要と推定される『花彙』稿本について調査を行い、詳細な分析に着手した。この稿本は、挿図が刊本とは大きく異なっており、それらを比較検討することによって、いまだ不明点の多い同書の成立過程について新たな知見が引き出せると予測している。 3) では、小野蘭山博物画の史的意義をより立体的に論ずるべく、比較対象として宇田川榕菴に着目して検討をすすめた。榕菴は蘭山の学統、すなわち稲(稲生)若水に始まる近世日本本草学の学統に直接連なる一方で、蘭学を通じてヨーロッパ植物学にも触発され、シーボルトと交流を深めつつ自身の植物画表現を磨いた。この点が、伝統的な本草学の枠組みに出発して、独自にテキスト・絵図表現の正確性を練り上げていった小野蘭山と対比するのに適当なのではないかと考えたためである。まずは榕菴の学問観(本草学観)を検討し、経過を「稲若水に始まるナチュラルヒストリーの系譜―宇田川榕菴『植学独語』を手掛かりとして―」と題して口頭で発表した。 なお本年度の研究は、出産育児による研究中断を経て10月1日より開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究中断のため研究期間が6ヶ月間と短く、成果の公表は口頭発表1件にとどまった。しかし資料調査およびその分析・検討については、次年度以降の研究推進につながる成果を着実に上げることができた。予定していた小野蘭山絵図資料の調査では、本研究の根本資料である小野蘭山『花彙』稿本の検討にも着手することができた。ただし、もう1点の根本資料である『救荒本草』については、スケジュールの都合から予定を変更し、次年度に調査を延期した。とはいえ、蘭山博物画をより多角的に論ずるべく新たに宇田川榕菴を検討対象に加えるなど、予定外の進展もあり、総括して、研究は概ね順調に進んだといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ひきつづき小野蘭山絵図資料・関連資料の調査を行い、その目録化をすすめる。調査先は、武田科学振興財団杏雨書屋、国会図書館、東洋文庫、東京大学総合図書館を予定している。 2)『花彙』稿本とその刊本についてそれぞれ書誌学的検討をすすめ、相互関係を明らかにする。 3)宇田川榕菴の本草学観を明確に把握するべく、すでに検討をすすめている『植学独語』を中心に、それ以外の著作資料にも範囲を広げて調査と分析をすすめる。
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