Project/Area Number |
22KJ2185
|
Project/Area Number (Other) |
22J20290 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川渕 紗佳 大阪大学, 人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 『源氏物語』 / 享受 / 宗祇 / 中世源氏学 / 連歌師 / 注釈書 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、『源氏物語』の享受資料を主な研究対象とする。主に室町中後期(1400~1570年頃)に成立した注釈書を中心に検討し、『源氏物語』がどのように解釈されていたのかを明らかにすることを試みている。『源氏物語』は成立後、広く享受された平安文学作品であり、特に、室町中後期には地方の武家の間でも愛好され始めたことが知られている。そのため、『源氏物語』の享受史を考える上で、室町中後期が重要である。 特に、宗祇の源氏学を中心に据えて検討を行う。注釈書同士の関係だけでなく、他の文学作品への影響も明らかにする。室町中後期の社会における、文化的交流の中での『源氏物語』享受を浮かび上がらせる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、『源氏物語』の享受資料を主な対象として研究を進めた。主に、室町時代中後期に活躍した連歌師の宗祇が著した『源氏物語』の注釈書を中心に検討を加えた。本年度は、主として『源氏物語不審抄出』を取り上げ、これまでに検討した『雨夜談抄(帚木別注)』『種玉編次抄』との違いに着目し、宗祇の『源氏物語』の読解態度と解釈に対する姿勢について考察した。また、室町中後期から近世期に成立した『源氏物語』注釈書の伝本調査についても行い、以下のような成果を得た。 (1)『源氏物語不審抄出』の注記内容に着目し、これまでに検討した『雨夜談抄(帚木別注)』や『種玉編次抄』とは異なる性質を持つ注釈書であることを明らかにした。宗祇が著した注釈書は、『源氏物語』の難解な部分に対して、どのように解釈すれば良いかについて、例示しながら詳細に示すものが多い。一方、『源氏物語不審抄出』は、『源氏物語』において難解な部分を取り上げ、自身の解釈を示すだけでなく、複数の説を示したり、難解な部分を解決しないまま捨て置く部分も見られる。このような性質を踏まえて、宗祇の他の注釈書では見られない『源氏物語』の読解姿勢や解釈が見られる注釈書であると判断した。また、宗祇の講釈活動との関連性についても検討している。 (2)本年度は、龍谷大学図書館、天理図書館、国文学研究資料館にて基礎的文献調査を行った。特に、『雨夜談抄(帚木別注)』の注記の形式の違いに着目した。なお、資料の閲覧が困難な資料については、複写を申請した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】(1)については、前述した通り、『源氏物語不審抄出』に着目したことで、これまで確認できなかった宗祇の『源氏物語』解釈を確認することができた。今後は『源氏物語』を抄出した『紫塵愚抄』、貴人の求めによって作成された注釈書である『紫塵残幽』を扱い、宗祇の源氏学に対する検討を継続して行う。 【研究実績の概要】(2)については、昨年度以前と同様に、宗祇の作品を中心に室町期に成立した注釈書の伝本調査を行うことができた。今後も基礎的文献調査についても継続し、(1)の成果と併せてさらに考察を加えていく。 以上の点を踏まえて、本研究は総合的におおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画については以下の通りである。 まず、宗祇の注釈書を中心に、室町中後期から近世期に成立した『源氏物語』の注釈書の伝本調査を継続して行う。宗祇の注釈書の伝本調査については、未だ不十分な点も多いため、所蔵されている大学図書館や文庫に赴き調査を進める。調査が難しい場合については、国文学研究資料館を活用する。 並行して、これまで検討できていなかった『紫塵愚抄』、『紫塵残幽』などの注記内容の検討も行う。宗祇だけでなく、宗祇周辺の人物が著した著作についても調査を加え、室町中後期以降の『源氏物語』享受を把握する。 連歌師の『源氏物語』への表現摂取の実態を捉えることも視野に入れながら、室町中後期の『源氏物語』享受史の実態を明らかにすることを試みる。
|