Project/Area Number |
22KJ2187
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Project/Area Number (Other) |
22J20414 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 57030:Conservative dentistry-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 真吉 大阪大学, 歯学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 宿主病原体相互作用 / 歯学 / 微生物学 / 口腔細菌学 / インターフェロン |
Outline of Research at the Start |
歯周病は口腔細菌叢のディスバイオ―シスの結果として生じ、P. gingivalisがその主因となる病原細菌であるとされている。本菌は病態に大きな影響を与えることから、“キーストーン病原体”と呼ばれるが、宿主側の免疫機構に与える影響についてはまだ十分に解明されていない。そこで本研究の主要目的を「P. gingivalis感染時に生じる遺伝子発現プロファイルの変化にかかわる宿主側因子の探索」とし、感染によりどのようにシグナルが伝達されているのか調べるとともに、治療薬候補の探索を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年はP. gingivalis感染時の活性化マクロファージにおけるSTAT1の発現抑制メカニズム解明に関して大きな進捗があった。本菌の外膜状に存在する鉄および脂質輸送に関係する2つの遺伝子(PGN_1138/PGN_1139)の二重欠損株において、STAT1発現低下による免疫抑制効果が解除された。上記遺伝子は単独の欠損株では免疫抑制の解除は起こらず、双方が協調的に働いている可能性が示唆される。走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡による形態観察および増殖速度は野生株と変化なく、本菌がもつ免疫抑制能の核心を担っている可能性がある。 P. gingivalisが持つキーストーン病原体としての働きの核心に迫る結果を得ることができたが、PGN_1138/9遺伝子群が担う免疫抑制能への詳細なメカニズムは未だ不明であるため、より詳細な検討が必要となる。 次年度では本年度明らかとなったターゲットに対する宿主側細胞の遺伝子欠損株・過剰発現株を作製し、解析を行う予定である。また、病態への影響を確認するため、絹糸結紮モデルを用いたIn Vivo における解析も予定している。先行研究で報告の多い絹糸は直径0.15mmであり、絹糸単独で歯周炎を大きく惹起してしまうことから細菌感染の影響を評価することは困難である。そこで直径0.06mmの糸を使用することで糸単独での炎症惹起を低減し菌投与時の評価をより詳細にできるよう改良したモデルを確立した。次年度はPGN_1138/9欠損株をマウスに投与し、歯周炎への影響を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は複数の遺伝子欠損株について解析を進めることにより一定の成果が得られた。まず、P. gingivalisの膜輸送関連遺伝子欠損株においてSTAT1抑制の解除が認められた。 上記の結果を受けて、宿主側における阻害化合物を用いた実験では膜輸送に関連する部分をターゲットとし解析を進めた。宿主オルガネラへのタンパク結合を阻害する化合物を用いた実験を行ったところ、複数の阻害剤の中から、p53のミトコンドリアへの結合阻害剤であるPifithrin-μ使用時に効果が認められた。P53そのものへの阻害剤に対しては効果が認められなかったことから、ミトコンドリアとの結合が非常に重要であることが示唆された。 また、In vivoでの病態解析においては、絹糸誘導マウスモデルを用いた実験を現在進めている。絹糸単独で病態が大きく進むと細菌感染時の評価が難しくなることから、先行研究で用いられている絹糸より細いものを使用することで改善することができた。次年度は複数の欠損株を使用した感染実験を行い、骨吸収量の測定および免疫染色での評価を行う予定である。動物実験での病態変化に関するデータが集積できれば、その時点までのデータをまとめ、早期の論文投稿を目指す。 本研究課題における進捗状況は概ね順調である。また、採択者は他の歯周病原性細菌の炎症惹起メカニズムに関する検討も行っている。口腔内は多様な菌種が存在し、P. gingivalisが他の菌と相互に協調しながら、病原体側に有利になるように免疫反応を緻密に制御している可能性がある。将来的には菌種間での相互作用についても解析し、歯周炎における病態メカニズムそのものを明らかにすることを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度明らかとなったターゲットに対する宿主側細胞の遺伝子欠損株・過剰発現株を作製し、解析を行う予定である。また、病態への影響を確認するため、絹糸結紮モデルを用いたIn Vivo における解析も予定している。先行研究で報告の多い絹糸は直径0.15mmであり、絹糸単独で歯周炎を大きく惹起してしまうことから細菌感染の影響を評価することは困難である。そこで直径0.06mmの糸を使用することで糸単独での炎症惹起を低減し菌投与時の評価をより詳細にできるよう改良したモデルを確立した。確立したモデルを使用し、PGN_1138/9欠損株をマウスに投与し、歯周炎への影響を評価する予定である。
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