Development of New Photocatalytic Reactions by Cerium-containing Multi-metallic Clusters
Project/Area Number |
22KJ2211
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Project/Area Number (Other) |
22J21165 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 33020:Synthetic organic chemistry-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
玉木 颯太 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | セリウム / クラスター / 光触媒 / 鉄 / カルボン酸 / オキソ架橋 / 易酸化性 / フェノール / 金属クラスター錯体 / 脱炭酸 / ラジカル |
Outline of Research at the Start |
有機合成化学は、医薬品、機能性材料、高分子などの有用化合物を創製するための基盤技術であり、エネルギー消費や廃棄物の副生を最小限にする環境調和性に優れた触媒反応の開発が強く求められている。本研究では、可視光照射下において優れた触媒活性を示すセリウムを含有する多核金属クラスターの開発と、それらを用いた高活性かつ高選択的な新規有機合成反応の開発を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光触媒特性に優れたクラスター錯体の合成と、それらを用いた高活性かつ高選択的な新規有機合成反応の開発を目的としている。 本研究者は昨年度までに、可視光照射下でのカルボン酸の脱炭酸反応に対し、セリウム1つとジルコニウム5つからなる新規6核金属クラスター錯体が、セリウムのみからなる6核金属クラスター錯体に比べ、格段に高い触媒活性を示すことを見出している。今年度は、この異種金属クラスター錯体の活性点であるセリウムが、電子供与性の強いオキソ配位子に囲まれることにより4価セリウム種であっても酸化力が低い点に着目し、新たな有機合成反応への展開を目指して研究を行った。その結果、一般に4価セリウム種では優先して酸化反応が進行するフェノール基などの易酸化性の官能基を有するカルボン酸の脱炭酸を活用する反応において、前述の異種金属クラスター錯体が効果的な光触媒として作用することを見出した。本知見は、天然に存在する易酸化性の官能基を有するカルボン酸を炭素資源として用いる有用な分子変換法の開発に繋がる点で重要である。 また、オキソ架橋金属クラスター錯体の酸化力が、一般的な高酸化数の金属塩に比べて弱くなるという金属錯体としての特徴をもとに、さらに酸化されやすい官能基を含むカルボン酸を適用できる光応答性を有するオキソ架橋金属クラスター錯体を探索した。その結果、4価のセリウムよりも酸化力の低い3価の鉄を含むクラスター錯体が、易酸化性の官能基に対して広く適用可能であることが分かった。さらに、鉄クラスター錯体が生成する反応系にイミダゾール類を配位子として添加することで可視光域の吸光係数が増大し、広範囲の易酸化性の官能基を有するカルボン酸の脱炭酸と続く電子不足アルケンへの付加反応による脱炭酸アルキル化反応に有効な光触媒として作用することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度はこれまでに研究を進めてきた多核金属クラスター錯体の光分解による有機ラジカル形成とその有機合成反応への応用を目指して研究を行った。その過程で、触媒活性種として生じるオキソ架橋金属クラスター錯体の特徴が、可視光により還元される一方で、オキソ架橋配位子の強い電子供与性により中心金属の酸化力が弱いという特徴に気付き、フェノールやインドールといった易酸化性の官能基を有するカルボン酸の脱炭酸官能基化反応に有用な光触媒として作用することを初めて見出した。さらに、基質適用範囲の拡大において、特にフェノールを含むカルボン酸の反応速度が非常に遅い点を克服すべく、反応速度が光強度と比例関係にある点に着目し、活性種の吸光係数が増す配位子の添加が必須であるとの気づきを得て最適条件の発見に至った。このように、変換困難な基質を反応開発の対象とし、触媒活性種の特性を十分に理解して高活性化に成功した本研究成果は、有機合成化学、触媒化学、錯体化学、金属クラスター化学、光化学、といった複数の基礎的学問分野を統合的に捉えることでしか無しえないものである。得られた研究成果は学術論文として投稿目前にあり、その内容は非常に高いレベルで正確にまとめられている。触媒開発から触媒反応、反応機構解析に至るまでを一人でこなしていることから成果を論文としてまとめるまでに時間がかかっているが、研究を行う上で生じる疑問を理解し、丁寧な実験を行う必要があるため避けられないものである。 上述の点を鑑みて、本年度の研究の進捗は想定を超えるものであり、学術論文として発表するための準備が十分であり、さらなる発展も見込める成果が得られていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、鉄からなるオキソ架橋金属クラスターの光触媒機能に着目して研究を推進する計画である。この鉄クラスター光触媒の開発により、広範囲の易酸化性の官能基を有するカルボン酸を適用できるようになったが、依然として適用できないカルボン酸も多くある。これらのカルボン酸が適用できない要因を、基質のサイクリックボルタンメトリー測定と質量分析測定により明らかにする計画である。基質のカルボン酸は、鉄クラスター錯体によって酸化される、または、何らかの要因で鉄クラスター錯体が不活性化されると考えられる。前述の測定を丁寧に実施することにより、これらの仮説を実証できる。 また、未だに使用困難なカルボン酸を使用することができる新規金属クラスター錯体触媒の開発に着手する。具体的には、開発し3核鉄クラスター錯体に構造に着目し、この3つの鉄のうちの1つを別の金属に置換することで錯体全体の酸化還元電位を調節し、より広範囲のカルボン酸に耐えられる触媒を開発する。さらに、イミダゾール系の配位子を別途合成して鉄クラスター錯体に配位させることで錯体の吸光係数を増加させ、光触媒としての効率を向上させる。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)