Project/Area Number |
22KJ2247
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Project/Area Number (Other) |
22J00017 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
正清 健介 (2023) 神戸大学, 国際文化学研究科, 特別研究員(PD)
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Research Fellow |
正清 健介 (2022) 神戸大学, 国際文化学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | フランス映画 / エリック・ロメール / 画面外の声 / 台詞 / 映画音響 / 同時録音 / ヌーヴェル・ヴァーグ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、トーキーへの移行が開始された1920年代末から1990年代までの約70年にわたるトーキー史における声の使用の実態とその変遷を明らかにするものである。具体的には、トーキー史を大きく3つの段階(創成期・発展期・成熟期)に分け、それぞれの段階で映画音響の発展において重要な役割を果たしたとみなされる映画作家の作品を逐次取り上げ、その作品における声の使用法と機能を製作背景・状況を参照しつつ明らかにする。すなわち、具体的な作品分析と製作背景・状況の調査を通して、トーキーにおいて映像や物語との関係で声がどのように使われ、声にどのような機能が担わされてきたかを時代を追って明らかにするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度に実施した研究の成果は、ヌーヴェル・ヴァーグの映画作品における台詞音声の使用法を明らかにしたことである。研究対象とした主な映画作品はエリック・ロメールの映画作品である。 長編処女作『獅子座』が製作された1959年から1990年代まで、ロメールが台詞音声を映画の構成要素の1つとしてどのように自身の映画作品において活用したかを明らかにするために、作品分析と一次資料の調査を実施した。これにより次の2点が明らかとなった。①ロメールが『モード家の一夜』(1969)より同時録音を本格的に採用し始めたことは知られるが、その同録での撮影を通して〈画面外の声〉に重要性を見出したこと。②その同録の〈画面外の声〉を1980年代に映画の物語を進行させる際に活用したこと。先行研究では同録による台詞音声はもっぱらロメール作品のリアリズムを示すものの1つとして解釈されてきたが、本研究はそれが〈画面外の声〉という形で物語叙述において有効に活用されていることを跡付けており、この点でロメールの映画演出の新たな側面を示しえている。 以上の成果を相対的に検証するために同時期のフランソワ・トリュフォーの台詞音声の使用法をロメール作品の場合と同様、作品分析と一次資料の調査を通して明らかにした。またこれと並行して、ヌーヴェル・ヴァーグ以前のフランス映画(ジャック・タチ映画とロベール・ブレッソン映画)についても調査を実施した。 これら一連の研究成果により、交付申請の時点で研究目的として掲げていた「トーキー史における声の使用の実態とその変遷を明らかにする」という目的は、トーキー史の3つの段階の内、発展期と成熟期の2段階について一部達成することができた。今後の展開としては、これまでの研究成果をさらに製作の面から裏付け、検証することを目的として一次資料を対象にした資料調査を継続しつつ、創成期を対象とした研究を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、研究実施計画通り、エリック・ロメール作品において台詞音声が編集や物語との関係においてどのように使用されているかを明らかにし、成果発表までには至らなかったがその成果を論文にまとめることができた。 ただし、研究実施計画では、研究対象を1980年代のロメール作品(「喜劇と格言」シリーズ)に限っていたが、「研究実績の概要」に記載した通り2022年度は1950年代末から1990年代までの広範囲の作品群(ロメールのほぼ全作品)を対象とすることになった。また、ロメール作品との比較対象として、同時期のフランソワ・トリュフォーの作品を研究対象として取り上げた。こうしたことから、計画していたトーキー史における創成期の主な映画作家(チャールズ・チャップリン、エルスト・ルビッチ、ハワード・ホークス)のトーキー作品との比較までは実施することができなかった。創成期の映画作品の研究は、2023年度に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては、次の3点が挙げられる。1つ目は、2022年度のロメール映画に関する研究成果を学会で発表し、論文を学会誌に投稿する。2つ目は、2022年度に実施することのできなかった創成期の映画作品、特にハワード・ホークスとエルンスト・ルビッチの映画作品の研究を実施する。3つ目は、ホークス映画とルビッチ映画の作品研究と並行して、トーキー史において映画製作の現場でどのように台詞音声が録音されてきたかの調査を進める。
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