マイクロニードルゲル基材を用いた肝臓表面における肝組織構築
Project/Area Number |
22KJ2369
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Project/Area Number (Other) |
20J40152 (2020-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2020-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 90110:Biomedical engineering-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白木川 奈菜 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 肝臓 / 再生医療 / 組織工学 / マイクロニードル |
Outline of Research at the Start |
肝臓のドナー不足は世界的な問題となっている。その解決が期待される体内での肝組織構築には、豊富な血流を有する部位への移植と長期的な生体内培養が必須である。しかしiPS細胞等の腫瘍形成リスクを考慮すると、除去が容易な移植システムの確立が望まれる。本研究では肝臓表面に対して着脱可能な独自の移植システムを開発し、生体内において肝機能補助可能なレベルの肝組織を安全かつ低侵襲的に構築することを目的とする。マイクロニードルを有する生体適合性ゲルに肝細胞を包埋して肝臓表面に穿刺し、肝臓から肝再生を促す液性因子を拡散供給して肝組織化すると共に、除去可能であることを明らかにして安全かつ有効な肝再生医療を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
肝臓のドナー不足は世界的な問題となっている。体内での肝組織構築は、その解決が期待されるものの、豊富な血流を有する部位への移植と長期的な生体内培養が必須である。しかしiPS細胞等の腫瘍形成リスクを考慮すると、除去が容易な移植システムの確立が望まれる。本研究では肝臓表面に対して着脱可能な独自の移植システムを開発し、生体内において肝機能補助可能なレベルの肝組織を安全かつ低侵襲的に構築することを目的とする。マイクロニードルを有する生体適合性ゲルに肝細胞を包埋して肝臓表面に穿刺し、肝臓から肝再生を促す液性因子を拡散供給して肝組織化すると共に、除去可能であることを明らかにして安全かつ有効な肝再生医療を確立する。 2022年度は肝臓へ穿刺可能なニードル基材を作製し、本基材の構造や液性因子の拡散性の分析を行った他、本基材をマウスの肝臓表面に穿刺し、肝細胞を移植し得ることや肝臓表面に対して着脱可能であることを明らかにした。 3Dプリンタ出力物や金属製のニードルを鋳型としてポリジメチルシロキサン(PDMS)を転写重合し、種々のサイズのニードル作製用PDMS凹型鋳型を作製した。基材の材料には、生体適合性を有し、肝臓表面への穿刺に十分な強度を有するアガロースを用いた。アガロース溶液を凹型鋳型に流し込み、ゲル化・凍結乾燥することでアガローススポンジニードル基材を作製した。得られた基材の表面はフィルム状であり、内部は多孔質構造を有していた。また、BSAやシトクロムcを用いて外部から基材内部へタンパクや増殖因子が拡散可能であることが示唆された。本基材をマウスの肝臓に穿刺し、ラット初代肝細胞を基材上面より播種することに成功した。また、本基材をマウス肝臓表面に対して穿刺して移植し、移植1週間後に、基材が肝臓表面に維持されており、剥離することで出血がほぼ見られずに基材を除去できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はマイクロニードルを有する移植用ゲル基材の改良と体内における肝組織構築を行う予定であった。 当初の予定通り、鋳型を設計し、3Dプリンタで出力して凸型鋳型を作製し、ポリジメチルシロキサン(PDMS)で転写重合し、種々のサイズの凹型鋳型を作製できた。得られた鋳型にアガロース溶液を入れてゲル化させた後、取り出して凍結乾燥することで0.4~1.4 mmのニードルを有する基材の作製に成功した。当初の予定では、素材を検討して最適化する予定であったが、凍結乾燥の工程において温度コントロールを行うことで、均一かつマウスに穿刺、着脱可能な基材を作製することに成功した。さらにコラーゲンゲルを用いることで、本基材に肝細胞を播種し、播種した細胞の流出を妨げ得ることが示唆された。また、拡散や細胞培養の検討により、本基材に対して、タンパク質や増殖因子が拡散可能であることや、ニードル部分からの吸い上げにより播種細胞に液性因子の供給が可能であることが期待された。 体内における肝組織構築に関しては、マウスの肝臓表面に対してラット初代肝細胞を基材に播種し、本基材を用いて肝臓表面に穿刺・移植することが可能であることを明らかにした。当初予定していた体内での増殖・組織形成や積層による更なる組織構築に関する検討までは行うことができなかったが、移植サンプルの着脱性に関しては評価することができ、移植1週間後において、本基材を剥離することで出血がほぼ見られずに除去することが可能であった。また、肝不全モデルの作製に関しても検討を行うことができた。 2021年度には自身の産休と新型コロナウイルス感染症対策による影響から、研究の遅れが生じたが、2022年度は自身の体調や新型コロナウイルス感染症も落ち着き、遅れを取り戻す勢いで研究を遂行することができた。 よって、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度までの検討において、肝臓表面に着脱可能なニードル基材の開発に成功した。2023年度は、肝障害モデル(肝不全)マウスに肝組織を構築し、本技術の有効性(治療効果)を実証して応用展開に繋げる。具体的には、重度の肝障害(薬剤性肝硬変)モデルマウスに対し、ラット・ヒト初代肝細胞、もしくはヒトiPS細胞由来分化肝細胞を移植する。移植実験の際には経時的に血中成分、肝組織の構造、機能発現、及び増殖性の評価を行う。 また、本移植システムが肝臓からの液性因子の吸い上げにより成り立っていることを明らかにするために、肝臓を模した足場に対して、本基材を穿刺し、本基材への液性因子の移動量を評価する。また、液性因子を有する肝臓を模した足場と、液性因子を持たない足場を用意し、これらに対して、本基材を用いて肝細胞を播種して培養することで、本基材の特徴を明らかにする。 得られた成果を学術論文にまとめ、国際学術誌に投稿する。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)