Project/Area Number |
22KJ2383
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Project/Area Number (Other) |
21J21208 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 47040:Pharmacology-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 智暁 九州大学, 薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | システイン代謝 / xCT / DNAメチル化 / 細胞周期 / Cyclin D / GCN2-ATF4-4E-BP1経路 / 翻訳制御 / 概日リズム / 代謝変容 / がん代謝 |
Outline of Research at the Start |
様々な生物の生理機能には約24時間周期の概日リズムが認められ、時計遺伝子と呼ばれる遺伝子群によって転写・翻訳レベルで制御されている。しかし、遺伝子の発現に概日リズムが認められないにも関わらず分子の機能に概日リズムが認められる事例は複数存在しており、体内時計から表現型としての概日リズムが生じるメカニズムについては未解明な点が多く存在している。本研究では、がん細胞において高発現しているアミノ酸トランスポーターxCTの機能の概日リズムに着目し、生体分子の機能の概日リズムが遺伝子発現ではなく、タンパク質の翻訳後修飾のリズムにより引き起こされているという新規の概日リズム制御機構を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、xCTの概日リズム制御機構に着目していく中で新たに発見された「がん化に伴うシステイン代謝の概日リズム変容」に関して、メカニズムおよび病態学的意義の解析を中心として研究を行った。担癌モデルマウスおよび培養細胞を用いた解析から、がん化した細胞では正常細胞と比べてシステインの生合成経路が低下している一方で、xCTを介した細胞外からの供給経路が亢進していることを見出した。そのメカニズムとして、がん細胞ではDNAメチル化の亢進によりシステイン合成酵素の発現抑制が生じること、システイン合成能の低下がAKTシグナルの活性化を介してNRF2の発現を上昇させること、そして、NRF2がxCTの発現を転写レベルで上昇させることを明らかにした。以上の一連の経路を介してがん細胞では細胞外から細胞内へシステインを積極的に供給していることが明らかになった。また、細胞内で上昇したシステインの病態学的意義について解析を行った結果、細胞内のシステインはCyclin Dのタンパク質翻訳制御を介して細胞周期を亢進させていることが分かった。メカニズムの解析から、細胞内のシステインはGCN2-ATF4-4E-BP1経路の活性状態を制御することで、mRNAの翻訳開始に関わるeIF4Eの活性制御を担っていることを見出した。最後に、ここまで明らかにしてきた知見をがん治療に応用することを目指して、がん細胞へのシステイン供給に関わるxCTの阻害ががん細胞の増殖を抑えるか検討した。その結果、xCTを阻害することで細胞内のシステイン含量が減少すること、およびCyclin Dの発現低下に伴う細胞周期の停止と増殖抑制が生じることを培養細胞や担癌モデルマウスで明らかにした。 本研究では、当初予定していた計画とはややずれが生じたが、がん化に伴うシステイン代謝変容機構とその意義という新規かつ重要な発見をすることが出来た。
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