トルコ共和国におけるネイション形成の研究:女性と民族的・宗教的差異の観点から
Project/Area Number |
22KJ2387
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Project/Area Number (Other) |
21J21447 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂田 舜 九州大学, 人文科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-06-29 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2021: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | トルコ共和国 |
Outline of Research at the Start |
本研究ではトルコ共和国期においてどのように国民形成が行われてきたのか、その一端を明らかにするため、定期刊行物上の言説を主に検討し調査する。その際、しばしば研究の対象とされる西部ではなく、東部・南東部において発行された新聞・雑誌などを分析の対象とし、その刊行物の性質にも留意しつつ、これらと中心都市イスタンブルや首都アンカラで発行された定期刊行物(一般的な全国紙だけではなく特定の地域の出身者グループによるものも含む)とを比較検討する。これにより、国民観や認識についてどのようなギャップがあったのか、もしくはなかったのかを明らかにし、従来の国民形成史とは異なる観点を提示することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、前年度に国外で収集した二つのローカル新聞の検討を行った。一つは1950年代前半にマラティヤ県で発行された『正しい道』紙である。これまでの先行研究で1950年代の地方紙の中には、それまでの世俗的な政策への反発から、スンニー系のイスラム的言説に接近する傾向が見られたものがあったことが明らかにされていたが、本新聞では、マラティヤという多民族多宗教的な地域的事情から、少数派アレヴィーに接近しフォローする言説が見られることが確認された。これはこれまでの地方紙研究ではあまり指摘されてこなかった注目されるべき点であろう。またその際、単に記者の持論が展開されるにとどまらず、ライバル紙と思しき他紙に対抗する形で書かれていたことは、スンニー/アレヴィーを巡る政治的対立がこの時期地方でもすでにあったことを示唆していると言える。もう一つの検討対象は、1940年代後半から1950年代前半にかけて、南東部・東部出身者を中心にイスタンブルで発行された『ティグリス川の源』紙である。一般的な事件を取り扱う全国紙や、中央で起こった事件や国際情勢を地方に伝えた多くの地方新聞とは異なり、むしろ逆に東部・南東部で起こった事件に関する情報を、同地域の出身者たちが中心となって共有するという性質が、この新聞からは確認された。と同時にその際も、記事の端々から共和国体制に反抗しているとは見なされ得ないように配慮している形跡がみられたことからも、この新聞自体がある種の政治的駆け引きがなされた場であったと指摘できるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は半年間のみ活動することができた。前年度に収集した史資料の整理にやや手間取りつつ研究を進めた一方で、新たな史資料の収集を進めることはできず、やや広がりにかける研究活動となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き同新聞を対象として検討がなされる予定である。特に、一般紙との比較検討をし、国内外の学会で発表をすることが目標として目指されるであろう。また『正しい道』紙では他紙の記事への反論記事なども見受けられることから、それらの収集も行いたいと考えている。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)