16世紀中葉九州における地域権力・社会の構造変化と東アジア情勢
Project/Area Number |
22KJ2408
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Project/Area Number (Other) |
22J00208 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
窪田 頌 九州大学, 比較社会文化研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 戦国期地域権力 / 大友氏 / 島津氏 / 戦国期九州 / 海域アジア / 16世紀 |
Outline of Research at the Start |
16世紀前半とは、鉄砲の導入に合わせて合戦が大規模化・長期化する画期である。特に、鉄砲の初伝地である九州では、合戦の大規模・長期化も早い段階から見られる。この合戦の大規模化・長期化は、これまで集権的権力の形成と結びつけられたが、九州の戦国期権力は従来、「脆弱」「非集権的」とみなされた。よって、九州の戦国期権力がいかに合戦の大規模化・長期化を果たしたのか、検討を加える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、16世紀九州における権力構造の検討を通し、新たな地域権力論の構築を目指すことを目的としている。本年度は昨年度に引き続き、(1)検討の前提となる史料収集・調査、(2)基礎的な政治過程の整理を主として行いつつ、(3)戦国期権力の権力構造把握に伴う論点整理・分析にも着手している。(1)に関しては、九州内外に所在する未翻刻史料の調査研究を行っており、一部は史料紹介の形での公開を予定している。本年度は特に、畿内寺社との九州諸勢力との関係を示す史料の分析を進めた。 (2)に関しては、昨年度に引き続き九州地域における大名・有力領主の政治動向や社会秩序の動向について検討を進めている。昨年度より進めていた明朝浙江当局・倭寇集団・九州南部・京都の政治情勢の連関に関する論文、ならびに戦国期大友氏権力を非制度的・非国家的権力であることを示した論文を、本年度公開することができた。これを踏まえて本年度は、大友氏が非本国においていかなる活動を示しており、地域社会においていかなる役割を果たしたのか、在地における「知行」のあり方の分析を通して検討を進めた。他方で、九州南部の年代記の整理や検討を通して、島津氏の権力確立・拡大過程の検討を進めた。これにより、九州全域を統合的に比較検討する下地を調えつつある。 (3)については、九州における戦国期権力の独自性を、近代的な分析概念から離れる形で捉えることを目標に、法学・社会学・文化人類学など隣接諸学における「権力」論の整理を行いつつある。とりわけ、大友氏の発給文書がほとんど土地の知行に関わる文書であることを踏まえ、16世紀における「知行」の語義をめぐる議論や、各地域・文明圏での「土地所有」のあり方をめぐる議論の整理を進めた。これらの議論は、大友氏など戦国期地域権力が社会において具体的に果たした役割を表すための分析手法・概念設定に資するものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的とするところは、九州の地域権力を軸とした中近世移行の把握である。本年度の研究では、昨年度以来の研究成果を公開することができた。また本年度は、未翻刻史料も含む史料調査を行うことができた。特にこれらの史料は、畿内の寺社と九州諸氏との関係を示すものが中心であり、戦国期においても九州諸地域と畿内との間に活発な人間移動・交流があったことを示すものである。加えて、本年度行った大友氏と非本国との関係についての検討は、「領域国家」とは全くことなる大友氏権力の様相をよく示すものであると同時に、昨年度までに検討してきた大友氏中枢の検討・大友氏勢力圏外縁部における影響力の検討の中間に位置づくものでもある。これらの成果は、来年度行うべき九州地域を総括した権力・社会の様相を描く上で、重要な位置を占めるものといえる。 こうした成果を挙げえた点において、本年度も概ね順調に研究を遂行できたと評価しうる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、最終年度であり研究成果の統合が求められる。よって、(1)大友氏権力構造の統合的な記述、(2)九州南部の政治過程・権力構造整理と大友氏との比較、(3)畿内・明朝なども含む他地域との関連の検討、の3点を進めた上で、16世紀九州の権力と社会の関わりや、16世紀における変化を描き出すことをめざす。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)