高解像度・広範囲の浅海底地形モデルを用いた海藻類の分布特性の解明
Project/Area Number |
22KJ2413
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Project/Area Number (Other) |
22J00770 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 04010:Geography-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神吉 隆行 九州大学, 比較社会文化研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | フォトグラメトリ / 藻場 / 景観生態学 / 浅海底 / 岩礁 / 磯焼け / 海底地形測量 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、地形学的視点から、どのような海底地形条件が海藻類各種の生育に適しているかを明らかにする。九州北部海域において、狭域・高解像度の写真測量と広域・準高解像度のマルチビーム測深を組み合わせることで、それぞれ約100 m四方範囲の詳細な海底地形情報を取得する。海底地形図を取得した海域においてSCUBA潜水を実施し、海底地形図上に海藻類の植生情報を可視化する。海底地形情報と植生情報から、海藻類各種の分布特性(各種がどのような地形量範囲に生育するのか、どのスケール・種類の地形量が重要であるか、どのような立地に藻場が成立するか)を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
フォトグラメトリ(写真測量)を用いて海底植生地図を作成することで、海底のどのような立地が豊かな藻場が成立しているかを調査した。福岡県糸島市姫島沿岸の80 m×20 mの範囲に設置された人工捨石礁において、複数の水中カメラを組み合わせたマルチカメラシステムを用いて、 0.07 m解像度の3次元モデルを構築した。 得られた3次元モデルから1,111個の捨石を識別し、底質は砂底上と転石上に分類し、海底植生地図を作成した。転石帯上の捨石においては、無植生あるいは繁茂時期がごく短いフクロノリ群落が多く見られた一方、砂底上の捨石においては多様な中~大型海藻類からなる多年生ホンダワラ類-ワカメ混生群落が多く、無植生やフクロノリ群落となる場所は少なかった。ただし砂地の上においても、自然の転石帯に囲まれた谷や窪地となった場所に置かれた捨石上や捨石同士が積み重なった場所では海藻植生が貧弱な傾向がみられた。 砂地上の捨石において豊かな海藻植生がみられたのは、主要な藻食動物であるムラサキウニには砂地を避ける生態があり、ウニ類による海藻類の摂食圧が低かったためであったと考えられる。海藻植生が貧弱であった転石帯上や転石帯に囲まれた谷、窪地、また捨石どうしが積み重なった立地条件においては漂砂の影響を受けにくく、ムラサキウニの生息に好適な環境を提供していたと考えられる。以上の結果より、捨石によって藻場を創出する際には、天然の転石帯の上やその隣接地を避け、砂地の上に低い密度で投石を設置することが適切であると結論付けられた。本成果についてとめた論文は投稿中であり、年内の発表を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
福岡県糸島市での海底植生地図作成については、海底地図・植生地図の作成から、植生と底質・地形量との関係の解析まで進めることができ、投稿論文の準備を完了した。続いて植生に重要な影響を与えるウニ類の分布に関する調査も同地で計画したが、2024年の冬期には時化が多く、2024年3月にやっと実施することができた。今夏中に、この結果を解析していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、藻場の成立条件として最も重要な藻食生物と思われるムラサキウニの生息に適した条件についても、植生地図と同様に写真測量により海底を地図化することで解明を進める。また、サイドスキャンソナーを用いた調査により、さらに広範囲の海底植生を調査し、マルチビーム測深によって得られている島周全体にわたる海底地形図上に海底植生を推定し、可視化することを目標とする。サイドスキャンソナーによって藻場が確認された場所においては写真測量による詳細な海底地形・海底植生調査も実施する。これにより、本研究で目標とするマルチビームによる広域な測量地形情報と写真測量による高解像度な地形情報を組み合わせた海底植生の分布の可視化を行い、各植生の成立条件の解明を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(16 results)